EyeCatcher地球が二つある話にしとかんと、別ネタで検索されそうだし。

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 話の舞台は、我々の地球から始まる。そう、我々の地球、2つの衛星のある太陽系第2惑星地球だ。
 ワザとらしいが、暗に「異世界」だと言っている訳です、判ってあげましょう。
 今や世界は統一され、唯一の政府を持つ連邦国家となっている。世界は一丸となって、宇宙開発に乗りだそうとしている時代である。
 既に有人宇宙飛行の技術は確立されている。2つの衛星(大月・小月)共に攻略済みである。次なる目標は地球のすぐ外を公転する「緑星(りょくせい)」である。

たいやうけい 第3惑星である緑星は多少平均気温が地球よりも低いが、人間が住めない程ではない。また十分な観察の結果、大気も濃く水もあり、思うほど過酷な環境ではない。
 衛星は3つあり、内側からサテュロス、ミューズ、ハデスと名付けられている。1年は地球より当然長くて、360日近くもある。
 その名の通り、地表は植物で溢れていると考えられている。高等な知的生命体の存在は不明だが、地表からの望遠鏡による観察では、これが限界だ。濃い大気に遮られ、詳しい地表の様子は見えないのである。
 もちろん充分に進んだ科学力を持つ我々は色んな観測機を送り込んだのだが、何故か必ず故障するのだ。大気の成分はほとんど地球と変わらないので電磁波その他の、別の原因があるのだろう。

 宇宙開発局にて、慎重な協議の結果ついに重い腰を上げて有人探査に踏み切る事と決定された。パイロットはしっかり者のボウイ、体頑丈なユハンの2名である。残念ながら画像は無い。
 それに探査隊長としてエケイ博士も同行する事になった。ただ緑星については、不穏なウワサが立っていた。創世神話に「神が人を作り、2つに分けた。」という一文がある通りに「人が住んでいるのでは?」と考える人がいるのである。
 エケイ博士は科学的見地から、この様な根も葉もない説もあながちウソとは言えないのでは、と考えていた。そんな思惑を尻目に、計画は着々と進んでいった。ボウイ・ユハンも、地球の周回軌道での訓練に明け暮れていた。

 探査ロケットは比較的大型で、地上からは直接打ち上げられないので衛星軌道上で乗り組む事になる。地球の自転と大月小月の重力によるスィングバィ(ぶん回し)航法により、緑星までは約半年で到着する。
 円筒形のロケットの軸線を中心としてドーナッツ状の居住スペースがあり、回転させる事により地上の何分の一かだが人口重力を発生させている。半年もの無重力の長旅も、これで大丈夫なのである。
 そうこうしている内に緑星へ辿り着く−その数日前からエケイ博士は困った様な、期待通りの様な、複雑な顔をしていた。ボウイ、ユハンは心配して話を聞こうとするが、博士はサラリとはぐらかしてしまう。

 3人を乗せた探査ロケットは緑星の衛星軌道に乗った。エケイ博士の観測では、大気中に人工的科学的組成物が含まれるのだそうだ。つまり何らかの文明の存在が疑われるのだ。
 衛星軌道上に探査ロケットを母船とし、(頑丈な)ユハンを残してボウイとエケイ博士が小型飛行艇で着陸(水?)を試みる次第となった。空恐ろしくなるほどに大気などの状況が地球と同じ(似ているではない)である。
 飛行艇は無事に何とはない平原らしい場所へ着陸した。2名は外へ出た。夜…と言って良いのだろう、辺りは闇に包まれていた。エケイ博士は早速直接その手で地表の様子を調べ始めた。
 が、それもバカらしくなるほどに地球と同じなのである。そもそも見た目がいわゆる「草っ原」なのである。「四つ葉のクローバーは無いかな?」などとバカを言いつつ調べていたのだが…!!!

 突然、飛行艇が爆発した!慌てる2名、そりゃそうだ。いくら同じデータが出るといってもここは地球ではない。下手をするとヨソの星へ置いてけぼりなのだから!
 だがそれは事故ではなかった。攻撃だった!何とも言えぬ殺気が平原を包んでいた。
 エケイ博士は全てを悟った!ここには確かに我々と同等以上の知的生命体が存在する!我々よりも進んだ文明を持ち合わせている危険性もある!なぜなら、その痕跡を我々はまるで掴む事が出来なかったからだ!
 我々の方が低能なのだ!!!
 幾つもの探査機も、こうして密かに破壊されていたのだ。我々に分からない様に。という事は…我々自身も命が危ない。と言って逃げるアテも無い。(頭の足らん)ユハンの事もある。どうしたモノか…
 突如、平原の反対側から爆音が響いた。取り囲んでいた者たちが騒ぎ出した。つまりこの連中の仕業ではない事らしいが?

 「こちらへ!」と呼ぶこえがした。2名はハッとした。「早く。」…確かに地球の言葉だ、なぜ?と考える間もなく呼ばれる方へコッソリと移動した。女性!?がいた。
 オッチャンじゃツマンナイし。
 女性の名はマニエ、天体物理学者だそうだ。この人の手引きで窮地を脱する事が出来たらしい。我々の事は、攻撃してきた連中とは別に、独自に察知していたそうだ。数ヶ月も前から!!
 エケイ博士の推理は概ね当っていた。攻撃してきたのは政府当局の武装集団。マニエと名乗る女性らは学術的集団だそうだ。「我々の」地球の動向について、双方どう扱うか対立していたそうだ。
 学術的集団側は何とかして交渉を持ちたいらしいが、政府当局は隠匿しようとしている。ところで、なぜ言葉が通じるのかというと、緑星(コチラの「地球」・以後、紛らわしい)の、とある地方の言語に似ているらしい。
 ちなみにコチラの「地球」では、我々の「地球」を、内側から軌道の順に数えて「2星(にせい)」と呼ぶそうだ(当然、自分達の「地球」は数えない)。合理的で素っ気無い命名法である。もっとも、我々も色の名前なので大きな事は言えない。
 肉眼視出来る「白星」までが古来からの名前で、「終星」「氷星」は科学文明(高性能望遠鏡)が発達してから発見されたので命名センスが違う、という芸の細かさ。
 自分らの地球を外して数えるのは、天文学発祥時はまだ「天動説」だったからなんですよゥ。空の星と同列に地面を数えるヤツは、あんまりいないよね。

 エケイ博士の懸念は当っていた。明らかに緑星の方が進んでいる。とにもかくにも地球へ戻って、状況を報告せねば。しかし移動手段が無い。
 と、救う神はあった。学術的集団の人たちが小型シャトルで衛星軌道上まで射出してくれる事になった。そこまで行けば、何とか我々の母船に辿り着いて乗り込めるだろう。それから今後の為に、マニエ女史もついて来る事とした。
 こちらの地球では、かなり早くから2星、つまり我々の地球に文明社会がある事を察知していた。文明同士が衝突しない様に、隠蔽工作を施しているのである。
 我々が無事に帰還すると、緑星の文明の存在が明らかとなる。必ず衝突する。むしろ、その後が厄介だ−だからマニエ女史は盾になる覚悟でもあるのだ。同胞が乗っていれば、いきなりは撃っては来ないだろう。いやぁ、撃つね。
 そしてそのまま我々の地球−彼女に言わせれば2星−へ来て、話し合いの下地を作るのである。行動が始まった。

 緑星の当局者はこの行動をとうに察知していた。が、すんでの所でシャトルを発射出来た。本当に偶然にだが(技術が高いから?)、シャトルの大きさは乗ってきた飛行艇より小さかったので強引に母船の格納庫へ押し込めた。
 軌道上母船をさっさと撃墜していなかったのは、以後の策略に関しての思惑絡みだと後付けしておく。
 ボウイ、ユハン、エケイ、マニエを乗せた宇宙船は、きびすを返して一目散に地球へ向かって行った。ただ、やはりと言うか、緑星の追手(軍事組織?)が迫ってきた。今の所追手は距離を保って付いて来ている。
 現状を地球へ報告しようとしたが、マニエに止められた。既に緑星側では地球の言語についての研究は進んでおり、会話情報は筒抜けになり得る。事実こうしてマニエも自在に話をしている。

 緑星の統合軍最高評議会は、今回の一件をきっかけに討伐論が大勢を占めたのだった。何と言っても、曲がりなりにも低能と見なしてきた2星(内側の地球)人が、自力で(外側の)地球までやって来れたからである。つまり攻撃される危険がある!
 ヨシアという男を隊長に任じ、そのまま2星(内側の地球)まで追って行き、2星に着いた所でやっと追い付いたとばかりに攻撃する作戦である。
 つまり、あくまでも先に仕掛けたのは2星側である、それを拿捕せんと追って来た、停止命令を無視し続け、アジトに逃げ込もうとしたので止むを得ず攻撃した、それがたまたま地上にまで届いた、あ〜らどうしよう、という筋書きである。
 もちろん実際は、本気を出せばすぐに追い付ける。

 仮にヨシアの追手に被害が出た場合は、それはそれで緑星(外側の地球)側の正当性を補強する材料になる。オマィ鉄砲玉だぞ。
 領域侵犯・不法侵入をしておいて遁走し、停止命令も聞かず、アジトに帰り着いたら逆にふてぶてしくも攻撃をして来た…とすり変える事も出来、緑星側のメンツは潰れないのである。正当性さえあれば、緑星側の不満分子も文句が言いにくいし、世論も誘導しやすいのだ。
 ま、ハルノートと真珠湾攻撃を一緒にする様な感じ。


EyeCatcher これは、我々製作集団で(どこまで本気か不明だったが)作ろうとしたマンガだったかアニメだったかのプロットの1つです。ワタクシの案という事で。ボツになりました。

 地球が2つ。でもお互い異星人なんだからお構いなしなんだろうな。どうやって戦争すんだろ?ミサイル打ち合うの?おお、近日点アタックとか遊星スイングバイ攻撃とか。

 初期プロットでは、5〜10日で行き付ける事にしていましたが、現実的ではないので半年に伸びました。
 ただ戦争が始まれば、ここぞとばかりに技術が推移するのは世の常で、1週間で往復可能!なんて事になるんでしょやっぱ。

 瞬間物質移送機みたいなモンを緑星側が開発してて、その技術がどうやってか地球(2星)に知れて…最後は全員死んで魂だけになって新しい星へ
 (書いてて鼻で笑った)。

 今回はいつもの人工言語なるモノは登場せず、いやむしろその逆で双方の言語が通じる所がミソなのである。
 一応、内側の地球の方が英語系の言語、外側の地球(緑星)の方がスラブ系言語とか考えており、ただ細かい地域では互いに別系統の言語も併存していて、たまたま互いの言語も存在している訳である。

 また外側の地球(緑星)の方では科学文明が進んでいるので、内側の地球の言語を傍受して研究していても不自然ではなかろうと思う。


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