六月は雨の季節。傘を持ち歩くことも多いですよね。
その時に、して欲しくないことが一つ。
閉じた傘を肘にかけて持ち歩くこと。
何でだかわかりますか?
これはマナーの問題なのですが、傘の先って尖っていますよね?
あれは当たると痛いです。ツンっと当たるだけだといえばそれまでですが、これが使用済みの傘である場合、痛みはないにしても触れた人の身体や服を濡らしてしまいます。これは明らかにマナー違反です。なのに、濡らした本人は気づいていないことが多い。
もしくは気づいても「どうせ雨の中歩くんだから同じでしょ?」などと甘い考えでマナー違反の弁護をする。
日常的に言えば、傘だけの問題ではありません。一歩外に出たら、自分の付属物である靴、傘、バッグ、ひいては連れて歩く子供まで、全てを「自分」として責任を持つのが常識のある大人ですし、そう望まれています。
また、そのように身の周りを含む全身に緊張感をもてる人は、誰から見てもやはり美しいです。
もし、あなたがそういう違反をしていることに気付いたら、その場で相手に謝ること。止むを得ない場合だってままあることですものね。
そうすれば相手だって
「ああ、荷物が多いんだな」
とか、
「満員だからちょっと手助けしようか」
と、あなたに好意的になってくれるでしょう。
でも、それができない人には、たった袖擦りあっただけの人から要らぬ恨みの念を頂いてしまうことにもなりかねません。気をつけましょうね。
こういったコミュニケーション不足によるいざこざ、見かけたことありませんか。
さて、「ハリネズミの距離」って知ってます?
愛し合うハリネズミはすごく微妙な距離感を大切にするそうです。
何故なら彼らの身体には全身を覆う棘があるから。
だから近づきすぎるとお互いを刺して傷つけてしまうし、離れすぎると寒いし接触できない。
それでどの動物よりも微妙な距離感を取らざるを得ないというのです。
見ていて涙ぐましいと言うか、ある意味はっとさせられるところがありませんか?
今日はその距離感のお話なんです。
人には自分が快適だと思われる「パーソナルスペース」というものが存在します。
それは動物でいうところの「なわばり」のようなものですね。
ですから人は自分のそばに見ず知らずの他人がやってくると警戒してしまう。ごく自然な反応です。
公共の交通機関での着席行動。あなたは端の方に座ろうとしませんか?
同じくそういう乗り物の席で自分が奥(窓際、端の方)に座っている時、他の席が空いているのに自分の横から動かない人がいるとイライラしたりしませんか?
それはあなたの「パーソナルスペース」を他の誰かに侵害されていると感じるからです。
一般に「パーソナルスペース」は楕円形をしていると言われます。
大きさには個人差がありますが、自分の身体を中心に半径1、2m。
男性より女性の方が広く、子供より大人の方が広い。
また、自己防衛体質の人(自閉症ほか)の方が一般の人より広いと言えるでしょう。
付き合いの程度や相手への好悪によってもその広さは変わります。
親しい人、好きな人には狭く、見知らぬ人、嫌いな人には広い。
だから好きな人に寄ってこられる分には構わない、というか嬉しいのだけれど、嫌いな人に「Pスペース」に踏み込まれると逆に嫌い度がアップすることにもなってしまいます。
因みに文化人類学者のエドワード・ホールは人の物理的距離と心理的距離の関係を以下のように述べています。
@0〜60cm…親密距離
かなり親しい間柄の距離(夫婦・恋人・親子etc.)
A60〜200cm…対人的距離
手を伸ばせば触れるプライベートな距離(友人etc.)
B1.2〜3.3m…社会的距離
あまり親しくない人や形式・儀礼的なビジネスの距離(上司と部下etc.)
C3.3m以上…公的距離
直接的なコミュニケーションを必要としない無関係な人との距離(講演・演説etc.)
これが人間の針の長さなんですね(笑)?相手が自分にとってどのレベルの接触を望んでいるか、ちゃんと見極めながら行動すること。それが人間関係をうまく運ぶコツの一つだと言えるでしょう。
邪念を買わずに、人と和して生きること。
必要なのは、気配り、目配り、思いやり。
例えば公共時にもつ傘の場合、振り回すことなく傘先を床に付けて安定させておく。
そういったちょっとした気遣いがあなたの周りの空気を優しくします。
足を広げて座ったり、荷物で陣地を広げたりといった思いやりのない行為に伴うパーソナルスペースの主張には眉をひそめますよね。
空間が広い場合は構わないのですが、やはりTPOをわきまえる事は必要でしょう。公の場でかける大きな音や、つけ過ぎの香水だって、それらが実際どんなに素敵であろうとも人の空間を侵害する棘となりうるのです。
具体例を出すと、公の場で携帯メールを打つのに集中している時が、他人に対して一番無防備(無神経)かもしれないですね。
あなたにとってどんなに大切なものであっても、見知らぬ誰かにとってはそのバッグや傘、ひいてはあなた自身が棘でしかありえないこと、気付いてください。
もしも、あなたが普通に歩いていても物にぶつかることが多い人であるならば、まずは自分の棘の長さを認識することから始めましょうね。
ぶつかるというより、よく躓く人は背筋を伸ばして姿勢を正すことから、もっと素敵に見えるようになりますよ♪
不意に相手にぶつかってしまった時に、その棘を溶かす呪文。
それは「ごめんなさい」や「すみません」の一言です。
自分が言われた場合にも、何だか出そうとしていた毒がすっと引いていく感じがするでしょう?
そして、もう一つ。
「ありがとう」の一言も上手に生活に織り交ぜてくださいね。
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