とりあえず「同居と台所」

自分の両親や相手の両親が高齢になると、どうしても考えなきゃいけないのが親の健康、そして同居の問題ですよね。

それまでも近くで過ごしていたならそこまで大変ではないかもしれませんが、他県に住んでいた方に同居を持ちかけるのは、双方にとってかなりのストレスをもたらすでしょう。
住み慣れた場所を離れるストレス、いつも会って話していた友人達と気が向いた時に会って話すことができなくなるストレス、何より今まで一緒に暮らしたことのない「赤の他人」と生活をともにしなければならないストレス。
年配の方にとっては、健康よりもそちらの方が大きな負担になると思われます。

でも、どうしてもそうしなければならない時というのはやってきます。
入院しなければならないほどの病気でないまでも、「一人にしておくのは心配だ」と思われる事件が起きた時です。

さて、その際に気をつけるべきこととは何か?
その親御さんの性格でしょうね。
「キツイ」キャラならば、引き取っても問題ないと思います。
相手もちゃんと自己主張ができますから。

問題は男女ともにおとなしい方だった場合です。
同居する夫婦としては、正直なところ楽でしょう。
だって、相手が気を遣ってくれるんですから。
「勘違い」な気の遣い方をされる方もたまにいらっしゃいますけど、それはさておき。

自分を飲み込む癖のある方の場合、痴呆になるのはすごく早いです。
何故なら同居で様々な制限がかけられることによって、「生きたい」という気持ちが急速に失われてしまうから。
負の感情にとらわれた人の脳内では「グルココルチコイド」と呼ばれる脳内ホルモンが分泌され、それは更に老化を早めてしまうのです。

人は楽しければ「ドーパミン」などの脳内ホルモンが分泌され、血液の循環や代謝がよくなり、身も心も若くなります。
それが老化をもストップしてくれるのですが、いつも自分の感情を押しつぶしている人はそんな素敵で無料な「若返り薬」を使えなくなってしまうのです。

これを回避するために必要なのは、自分の想像力を活かす行動を同居先でも行えるようにすること。
無理矢理やらされる何かでは意味がないのです。

男性の場合はそこで昔からの趣味に取り組まれるのが一番でしょう。
ただ、女性の場合はその世代だとどうしても切り離せない場所があります。
それは台所。
彼女にとって、そこは昔自分が嫁いだ時からいろんな感情をともにしてきた大切な場所。
ですから、他人の台所というのはどうにも居心地の悪いものです。

その世代で「料理が嫌いだ」という奥方も勿論いらっしゃると思います。
でも、飲みたい時にお茶も飲めない(お湯が沸かせない)、果物一つ好きな時にむいて食べられないなんて、どれだけ気持ちを制限させられるかおわかりでしょう。

どんなに小さくても同居者専用のミニキッチンを用意する。
それだけで親御さんのクリエイティブな思考や感情はかなり自由になるはずです。
場合によっては金銭的に厳しいかもしれませんが、できれば同居の前に考えてみてほしいところです。

あなたにとって、大切な誰かを尊重するためにも。
受け入れる環境がどう作用するか、偽善や体面のためだけじゃない選択をお願いします。

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