2010年現代日本文芸作家大賞受賞記念10句




   はしがきを早春の風としるして

   譜をはずし又譜をなぞる初鶯

   黄水仙一輪のみの廊の寂

   枝垂れ梅より天空を仰ぎ見る

   春めくをときめく旅のはじまりと

   陽に目覚めそよぐそよ風春の風

   東風強く引き裂く宙の北斗星

   山々を春の遠吠え駆け抜ける

   桜草とめどもなくて涙咲く

   菜の花の丘は一面宵の頃




                          上野貴子作

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