俳句たべのもダイアリー二0一三年十月
十月 一日(火)晴 苦瓜を水に浮かせて夕仕度(苦瓜)
十月 二日(水)曇 焼き鮭の旨みに箸のすすむ朝(鮭)
十月 三日(木)晴 柿ならべ棚の入れ替え食品街(柿)
十月 四日(金)曇 ピーナツの殻割る音にふと無言(ピーナツ)
十月 五日(土)雨 いちじくの舌に弾けるモーニング(いちじく)
十月 六日(日)曇 秋茗荷薬味に刻む昼餉時(秋茗荷)
十月 七日(月)曇/晴 しめじ茸サラダに和えて夫婦酒(しめじ茸)
十月 八日(火)晴 秋卵鍋にとろとろ火の恋し(秋卵)
十月 九日(水)晴/曇 ほほえみを皮に残して衣被(衣被)
十月 十日(木)晴 いつ来るか巣箱に林檎置いてみる(林檎)
十月一一日(金)晴 鷹の爪除けても辛さ身に沁みる(鷹の爪)
十月一二日(土)晴 チョコ割れば木の実いろいろ森の夜(木の実)
十月一三日(日)晴 花梨の実のど飴に姿を変えて(花梨)
十月一四日(月)晴 柿二つ熟すまで待つ晴れ続き(柿)
十月一五日(火)曇 焼きたての鱸に箸を入れる夜(鱸)
十月一六日(水)雨/曇 無花果をもいでは熟すまでを待つ(無花果)
十月一七日(木)晴 花梨とは悪戯小僧の拳骨か(花梨)
十月一八日(金)晴 椎茸の厚み浮かせて椀の汁(椎茸)
十月一九日(土)曇 木の実落ちいつかは帰る童唄(木の実)
十月二0日(日)雨 振り出しに戻るしかない石榴の実(石榴)
十月二一日(月)晴/曇 焼鮭の紅ほの淡く朝の声(鮭)
十月二二日(火)曇 柚子の皮刻んで乗せて薬味とす(柚子)
十月二三日(水)曇 嵐来る朝の予報に林檎剥く(林檎)
十月二四日(木)曇 漬物に柚子の実香る花小鉢(柚子)
十月二五日(金)雨 馬鈴薯のサラダを和えて昼餉時(馬鈴薯)
十月二六日(土)雨 コーヒーをミルで落として胡桃菓子(胡桃)
十月二七日(日)晴 一言の重さを啜る葡萄の実(葡萄の実)
十月二八日(月)晴 南瓜切る力を胸に朝厨(南瓜)
十月二九日(火)晴 甘藷煮と濃茶を啜る夕餉前(甘藷)
十月三0日(水)晴 無花果を割れば言葉の宝箱(無花果)
十月三一日(木)晴 化け出るぞ南瓜大きな口を開け(南瓜)