Langue Pietraise

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 概要

 例によって同人マンガ用にでっち上げたフランス語起源のスラング言語。始めはまともなフランス語のつもりだった気配もある。作品進行中にスラング化して行ったと推測する。
 話す主体は人間の遺伝子を持った猿の変種という設定で、研究施設内の主要言語が仏語だった為に、猿の方で勝手に覚えたもの。
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 ※単語は和仏−仏和辞典を参照の事。
 動詞の人称変化の消失や音韻の単純化が認められる。
 人称代名詞を使わず、固有名詞で呼び合い、自称する。

 Igrek さんと Yod さんという2個体が会話する場合:

 Bonjour, Igrek. Yod est. 「こんにちは、イグェク。ヨード ある。」
 ボンジュゥ、イグェク。 ヨード エ。
 Igrek veut voit pas Yod. 「イグェク ヨード 見たい ない。」
 イグェク ベゥ ブワ パ ヨード。

 …こんな感じで言葉を交わす。
 ç は セディーユ と言い、必ず s の音である。分かる限り c で代用する。
 Comme ça. → Comme ca. コモ サ 「こんな風。」

 単語内のアイマイ母音は、近場の母音につられる。Comme コモ の様に。
 綴字法はあって無い様なモノだが、辞書に準じる。

 〈音の問題〉
 語頭の r 音は、ガ行に近い(乾いた) h 音。「 rend ハン 」
 語中の r 音は、母音に挟まれるとガ行に近い h 音。「 numero ニュメホ 」
 語頭の r 音でも合成語などで語中扱いになる場合あり。「 a revoit アフブワ 」
 語中の r 音は、子音に隣接すると w 音に弱化。「 arbre アゥブゥ 」
 語尾の r 音は、直前が母音の場合は母音化。「 pour プゥ 」
 語尾の r 音は、直前が子音の場合は w 音に弱化。「 arbre アゥブゥ 」
 ※ e は黙字

 v 音は、b 音になる。「 veut ベゥ 」
 語尾、母音無しの l 音は、「ウ」と表記。「 table ターブウ film フィウム 」
 ks 音は、詰まった音になる。「 accent アッサン 」
 sk と並んだ時は、i が挿入される傾向がある。「 Qu'est-qu'il y a? ケシキリャ? 」
 il と並んでいて、y 音になるモノは j 音になる。「 fille フィジ 」
 eu の音は「エゥ」と表記。読みは「ユ」に近い。「 bleu ブレゥ、ブリュ 」
 「ウ」や「ゥ」が続く場合は「ー」。「 meurt メゥー 」
 動詞語尾や近くに目標の無いアイマイ母音はエ段になる傾向がある。
 母音 a, i, u, en, m は、たいてい「アン」と読まれる。「 pain パン 」
 他にも母音は oi 「オワ」の様に仏語に準じる。
 un ウン 、deux デゥ 、en アン 、de デ の様に、決まった読み方がある単語もある。
 リエゾン、エリズィオンは不規則。


 〈名詞文〉
 定型の C'est セ 「これは〜です」を使って、いきなり名詞を持ってくる。

1 C'est arbre. 「これは木です。」
2 Igrek est Pietraise. 「イグェクはピエトラ人です。」

 2番目の文章は、イグェクさんが自称している場合も固有名詞で言う。
 よって動詞が3人称形だけになった。かなり子供っぽい。
 いわゆる E.T の言葉に近い。"E.T phon home."

 est は、英語では is 、この言語では3人称しかないのでこの形だけで事足りる。
 est は「エ」としか読まない。C'est は Ce est の略。


 〈動詞文〉
1 Homme rompt singe. 「人は猿を殺す。」
2 Yod va ville de homme. 「ヨードは人の街へ行く。」
3 A un arbre, la. 「1本の木があそこに立つ。」
4 Un arbre, la. 「1本の木、あそこ。」
5 Fait pluie. 「雨を降らせる(雨が降る)。」

 直接目的語を要求する文章(1番)は、至って普通。
 2番の様に、間接目的語の場合でも、分かる場合はそのまま。
 3番は特殊な無人称文の例。英語の have に当たる動詞 a が裸で出現する。
 3番の un は冠詞ではなく、数。la も指示詞と混同されている。
 4番の言い方で存在を表し得る。
 5番は欧米語でよく見る仮主語…は無い。3番や5番の主語は「神」か?


 〈代名詞〉
 基本的に使わない。が、多少は使う機会もある。
 代名詞そのモノが無い訳ではないのだが、「人称」としては使わない。

 Yod soit prend Igrek.
 ヨード スワ プワン イグェク。 「私(ヨード)はあなた(イグェク)を捕まえたい。」
 「ヨード」が「私」でも「汝」でも第三者でもこうなる。

1 On vit mont la. 「みんなあの山に住む。」
2 mont d'on 「みんなの山。」
3 Homme on a cree. 「人間はみんなを作った。」
4 Y a vient. 「ヤツが来た。」
5 Se met. 「座れ。」

 on, d'on, y の3種を確認できる。「みんな」「みんなの」「ヤツ」である。
 目的語の場合は3番の様に語順が変わる。
 5番は再帰代名詞、文法上欠かせないが se の形だけ。
 「再帰」とは本物にもある用法。met は「すえる」であって「すわる」ではない。
 「自分をすえる→すわる」となる訳である。欧米語にありがち。


 On dit "Igrek". 「イグェクです(と呼ばれます)。」

 on は「みんな」なので、「みんな言う→言われる」の様にもなり得る。
 これも欧米語ではよく目にする用法。

 moi ムワ toi トゥワ といった強調形はあるが…
 Moi toi aime. 「私、あなた、好き」とかにはならないという事。
 せいぜい、Toi! 「おいコラ!」、Moi! 「くれっ!」という感じだろう。


 〈時制〉
 完了形に見えるモノはある。動詞の前に a (英語の has )を付けるだけである。

 Igrek a mange pain. 「イグェクはパンを食べた。」

 未来形は無いが、推量形みたいなモノはある。
 動詞の前に est 「いる」の変化形 soit ソワ 「いるだろう」を付ける。
 他にも「軽い命令」「希望」「仮定」を表す。

1 Yod soit mange pain. 「ヨードはパンを食べるだろう(食べたい)。」
2 Yod soit en ville la. 「ヨードはあの街に居よう(いて欲しい)。」

 余談だが、人工的な食べ物はたいてい pain パン と呼ぶ。「パン」とは限らない。

 助動詞としてveut ベゥ 「欲す」peut ペゥ 「出来る」を多用する。

 Yod soit veut peut marche en ville homme.
 「ヨードは人間の街で歩く事が出来る事を欲しているらしい。」

 en を使って、継続中の動作を言える。「登る・木・中で・食う」という構造。
 「ジェロンディフの用法」の残骸…と言えば聞こえは良いが文法の破綻に過ぎない。
 漢文並にイイカゲンな文法。

 Monte arbre en mange. 「食いながら木に登る」


 〈動詞の周り〉
 疑問形は尻上がりに言えばよい。
 否定形は次の通り。訳は動詞部分だけ。

 Igrek ne mange pas pain. 「食べません。」
 Igrek mange pas pain. 「食べない。」
 Igrek mange pain, pas. 「食べない。」
 Igrek mange pas pain, na. 「食べないモン。」

 最後のは少女っぽいらしい。名詞文の否定は好きずきで:

 Ce n'est pas pain. 「パンじゃない。」
 C'est pas pain. 「パンじゃない。」
 pain, pas. 「パン違う。」


 〈助辞・接続詞〉
 ende が多用される。
 a も申し訳程度に出てくるが動詞 a と紛れる。

 Homme vit en ville. 「人は街の中にいる。」
 singe de mont. 「山の猿。」
 A vient a ville de homme. 「人間の街へ着いた。」

 de には「部分冠詞」という用法が(誤用から)混ざっている。

 Soit donne de pain? 「パンを幾らか下さいません?」

 接続詞としては「 mais メ しかし」「 et エ だから、と」ぐらい。
 「 que ケ 」が副文節を丸ごと引用するのに使われる。(誤用くさい)

 Y a vient que voit Igrek. 「アイツはイグェクに会いに来た。」


 〈形容詞・数詞〉
 後から修飾するのが基本だが、定まっていない。

 arbre grand. 「大きな木。」
 grand arbre. 「大きな木。」

 「 bon 良い」の反対は、なぜか ne-bon

1 Igrek est fille bon. 「イグェクはイイ子。」
2 Yod soit fille ne-bon. 「ヨードは良くない子でしょ?」
3 Igrek, fille bon. 「イグェク、イイ子。」

 3番は繁辞 est が抜けているが、こう言う個体もいるという事で。

 nul 0 ニュウ un 1 ウン deux 2 デゥ trois 3 トゥワ quatre 4 カトゥー
 cinq 5 サンカ six 6 シシ sept 7 セテ huit 8 ユィ neuf 9 ネゥフ
 dix 10 ディシ cent 100 サン mille 1000 ミウ point プワン 小数点

 元の仏語では 20 * 4 + 19 と言うが…
 完璧な十進法で、99は「ちゃんと」 neuf-dix neuf 9 * 10 + 9 である。


 〈疑問詞〉
 「 que 何」「 qui 誰」「 ou どこ( d'ou どこから)」ぐらいしか使わない。
 関係代名詞にも使う。

 Y qui a vient en soir, est qui? 「夜に来たヤツは誰?」

 On dit qui parle langue comme ça, enfant.
 「こんな言葉話すと、ガキって言われる。」


 〈特有の単語〉
 大雑把な単語が目立つ。木は何でも arbre アゥブゥ。
 獣は bete ベーテ 、鳥は oiseau ワゾ 、虫は mouche ムーシュ 。
 親族用語に特徴があり、世代数「 gens ジャン 第○世代」で言う。
 親は avant gens アバンジャン で、世代数を知らない(分からない)ヤツを
 sans gens サンジャン と言って馬鹿にする。
 他に「 race ハサ 部族」という言葉があって、差別の元である。
 その他、単語の転用の具合。

 nu. ニュー。 「正直(ウソつかない)。」(原義は「裸」)
 grand! グワン! 「大きい!・いっぱい!・広い!」
 numero. ニュメホ。 「変なの。」(原義は「番号」・仏俗語の意味)
 monte. モンテ。 「登る・登ってるヤツ・逃げる・隠れる」
 Qui! Qui! キー!キー! 「誰か(がいる)!」(音韻が確信犯)
 Salut! サリュ! 「よう!」(音韻が現行犯)
 Ete! エテ! 「あった!」(ふざけるな・ちゃんと仏語起源)



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