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電網電氣講座・ゲルマニウムラジオ

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※マンガは単なるウケ狙いです。


ゲルマニウムラジオという機械

始まり ゲルマニウムラジオ…とは、電源(電池)が必要無く、放送局からの電波エネルギーでのみ作動するラジオです。現代においては災害時の停電の状況下で役立つでしょう。
 また、電源が無いので環境に優しい…などとありきたりな事は言わず、単に寝ラジオとしても重宝します。何しろ電源が無いのでスイッチもありません。消し忘れ無用、消す必要が無いんです。
 じゃあ耳元で鳴り続けてウルサイのでは?心配せずとも、音量は元々小さいので、イヤホンでしか聞けず、耳から外せば問題ありません。(シャカシャカ聞こえる事もある)
 むしろ、その音量が小さい、すなわち感度が低い事の方が問題なのです。単に作っただけでは蚊の鳴く様な声が聞こえて満足してオシマイになってしまいます。
 それでは困る、面白くなかろう、とこの様なページを設えた次第であります。現にここの管理者は自作のゲルマニウムラジオを実用しています。まぁNHKしか聞こえない様な気がしますが。(あと隣国の放送・九州だしね)

基本回路図の実体図

 当方では学研ゲルマニウムラジオにインスパイアされた経験上、ミュー同調方式から始めました。ヨソではなぜかあまり見かけません。C同調との性能差は感じません。
 ミュー同調とは、コイルL側の値を変えてチューニングする方式です。よって希少なバリコンを用いません。とは言っても、補助的な可変コンデンサーVCは設置しています。
 その他の部品としては、名前の由来であるゲルマニウムダイオードDがあります。これで電波を耳で聞こえる音声に変換します。これだけで成立するのです。


コイル・コンデンサーの話

三段巻きコイル コイルの頁も参照。

 コイルとは細い針金をグルグル巻いた部品で、ゲルマニウムラジオでは最も目立ちます。形の無い電波を、電圧電流の具体的な変化に変換する部品だと考えて結構です。
 概ね左図の様な形が一般的です。ただ円筒に巻いて作るのをソレノイドコイルと申します。他にも変な形のがあったりしますが、まぁおいおい。
 電圧電流の変化になれば、いろいろ加工も出来ますね。ただし何も考えないで巻きまくると、どこら辺の周波数に合ってるか判らなくなります。

参考→コイル巻き計算機(別ページ)


 コンデンサーという部品は、働きの割には単純な姿をしています。特に当方で使用しているモノに至っては単なる三枚のアルミ板でしかありません。
 それでも、ちゃんと何となく機能を果たしてしまいます。しかしながらミュー同調においては脇役なので、それも許されるのでしょう。
 なお、作り方・材料等の環境によって値にバラツキが出ますので、必ずしも図示した通りに出来上がるとは限りません。
 

コンデンサー容量計算機(取引証明以外用)
 cm2 極板の面積  mm 極板の間隔
 比誘電率 ε(空欄=1)  極板のペア数(空欄=1)
 pF    
絶縁物の比誘電率:空気 = 1 、紙 = 2 、ポリスチロール系 = 3 、ガラス = 5 、程度。
大まかな目安という事で。3 枚構成なら「ペア数(コンデンサーになってる部分)」は 2 。
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基本知識 コンデンサーは、図で見る通り電極を向かい合わせているだけの構造で、当然直流電流は流れません。
 ところが、流れ始めから電極に電気が溜まりきるまでは、非常に短い時間ですがちゃんと「流れている」のです。
 だから、チマチマ流れる方向が変わる交流では、溜まりきる前に方向が変わって「見かけ上」流れ続ける事になるのです。

 コイルに電圧をかけると電流が流れますが、流れ始めに必ずその反対方向への逆起電力が発生します。逆起電力は時間と共に弱まる…と考えると判り良いかも知れません。(ファラデーの法則やらの話)
 直流なら時間と共に電流が逆起電力に打ち勝って流れるのですが、チマチマ流れる方向が変わる交流では打ち勝つ前に方向が変わる事で逆起電力は常に最強なので、いつまで経っても流れられません。

 【追加】
 電流というモノは、管(電線)に並べ入れた玉(電子)で言うなら:

 _____________
 ○→→→→→→→→→→→→→○ 玉が進む→「出る玉=入る玉」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 …ではなく、
 _____________
 →●○○○○○○○○○○→→ 揺らぎが伝わる→「出る玉≠入る玉」
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 …であります。交流の場合は全体が左右に揺れ動いて通り抜けません。
 仮にコンデンサー(例えばゴムの膜)が挟まっても

 _____________
 ○○○○○|○○○○○○ ←ゴム膜を挟んだ
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 _____________
 →○○○○○)○○○○○○
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 _____________
 ○○○○○(○○○○○○←
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 …と「揺れが伝わり」さえすれば流れ続けている事になるのです。

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同調、共振とは

同調回路 電波から取り出した電流は交流です。
 コイルにしても、コンデンサーにしても、交流は周波数で流れ方が変ります。
 周波数が高くなるにつれ、コイルはだんだん流れにくく、コンデンサーはだんだん流れ易くなります。(前項参照)
 容量Lのコイルと容量Cのコンデンサーを回路にすると、インピーダンス(交流抵抗分)Iが下がる周波数があります。それが共振(同調)周波数Fです。
 その周波数Fは、LかCを変化させる事で任意に変える事が出来ます。

 …こんな感じだったかな?まぁ要するに「周波数 F を変える事が出来る」というのが大事、理屈より形を憶えませう。
 その「周波数F」を算出する式は:
 F[Hz] = 1/2π√(LC)
 (にーぱいるーとえるしーぶんのいち)
 L…コイルの容量[H]ヘンリー
 C…コンデンサーの容量[F]ファラッド

同調周波数計算機(取引証明以外用)
 μH のコイルLと、 pF のコンデンサーCでは
 KHz 付近にて同調する。    

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検波器・鉱石・ダイオード

検波概念図変調概念図

 電波は、実際は左図の様に単位時間内に於いては必ず+−が同一です。
 電波本体は櫛の歯の様な部分で、これだけで飛ぶのですが、音声電圧を加えて端っこをフニャフニャに変形させた形のモノ(変調波)を放送電波として送り出しています。
 (こういうのをAM変調と呼ぶ)
 さて、常に+−が同一という事は、出力として取り出すと必ずゼロです。だからいずれかを切り捨てれば(検波)出力波形は音声波形の相似になります。
(赤線は実際出てきそうな出力)
※正負が同一でない変調形式もあるが、ここでは割愛※

例えが不鮮明  一方にしか電流を流さない、都合の良い部品があります。それがゲルマニウムダイオードです。
 古くは方鉛鉱・黄鉄鉱という鉱石に針を立てて検波していました。
 だから古くは「鉱石ラジオ」と呼び、今は「ゲルマニウムラジオ」と呼称するのです。

 その波形つまり音声電流を普通は増幅してスピーカーなどで聴くのですが、ゲルマニウムラジオには増幅器など無く、そのままムリヤリ聴きます。
 逆に言えば、増幅器(アンプ等)が無いという事は電力(電源)が要りません。
 それに変な話ですが、劣化させる要素が無いのでハイ・ファイなのです。

 よってゲルマニウムラジオは場所に依存するので、送信所に近ければスピーカーさえ鳴らせる場合があります。
 逆に近くに送信所の無い方、鉄筋住宅の方は努力が必要です。

 なお、ヨタモン交流はコンデンサー(成分)を介してアースに吸われて消えます、合掌。
※「包絡線検波」等のむずかすぃ言葉は回避※

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目当て 鉱石とは何でせう?

黄鉄鉱と方鉛鉱 黄鉄鉱(左)と方鉛鉱。ミネラルフェア関連から入手。
 方鉛鉱は脆いので、ペンチなどで簡単に粉々に出来ます。それに普通の縫針などを当てるだけで、十分な検波作用を発揮します。
 黄鉄鉱は「ライターの石」として見つけられるかも、ただし感度が悪いです多分。

(泣) 鉱石、手に入りません(泣)

身近な実験例 ゲルマニウムラジオに左図の部品を付けて、一応ナイターを聴く事が出来ました。
 「検波器」は、とにかく聴きたいのなら、素直に「ゲルマニウムダイオード」を入手すべきです。
 ただ国産は製造中止で、外国製品やジャンク、デッドストックしかありません。
 鉱石ならむしろ標本として見つけられるかも知れません。

異常な実験例 「シリコン半導体」というモノがありますが、動かす為の最低電圧が高めなので使えません。
 ところが、トランジスタの破片を針で突ついて実験していた所、ちゃんと検波した事があります。そこで左図の様な実験はどうかな?と思って。
 (大昔のラ製に似た記事が載ってた)
 見かけは完璧に鉱石検波器…かも知れない。シリコンは単なる鉱石としてしか使っていません。
コケ。 履歴転進


アンテナ・アース

電波を集める道具人間アンテナ

 ゲルマニウムラジオ(鉱石ラジオ)のアンテナは大きく派手に、が基本ですが出来ない人も居られるので、コンセントによる電灯線アンテナという方法を紹介。
 「既製の耐圧500V以上」のコンデンサー100pF程度を通します、絶対。
 ただし鉄筋住宅では鉄筋がシールドになって使えません。10m以上のアンテナ線を外へ出す工夫が必要です。ベランダに渦巻スダレにして出せば、効果あるかも。そうしてまで聴くのがゲルマ(鉱石)ラジオです。
 もし大きなアンテナを張っているのであれば、遊び半分ではいけません。雷はシャレになりません、ホント。管理者は雷が鳴るとすぐにアンテナを外します。

アンテナ・アース なんで家庭用100Vをカット出来るかというと…コンデンサー・同調共振の項を思い出して下さい。
 チマチマ方向を変える交流はコンデンサーを通りますが、そのチマチマの具合(要するに周波数)で様子が変わります。
 結果だけ言いますと、チマチマが速い、つまり周波数が高い方が通りやすいのです。
 (コンデンサ容量が小さい程チマチマ度が上がる・100PFは相当小さい)
 ラジオ放送は概ね数百〜数千kHz(キロヘルツ・一秒に千回チマチマ)であるのに対し、家庭用100Vは50〜60Hzでしかありません。直流の様なモノです。
 だからコンデンサーでカット出来ます…が、漏電する恐れはありますので注意に越した事はありませんよ。

 なお、最近の家庭用電灯線にはノイズ除去措置が取られている事が多いです。
(ラジオの電波とか…)

アースの方法人間アース

 アースは、要するに入ってきた電波を逃がせれば良い訳で、極端な話が人間アースだって…もちろん、電灯線アンテナとの併用は不可ですよ。
 電器製品のアースと共用するのもアイデアですが雑音をもらう事もあります。
 最下の図は「カウンターポイズ」という方法で、電磁的にのみ地面と接しています。場合によってはゲルマニウムラジオの分離が向上します。(詳細略)
 アースの大基本は「湿った所」「電気の流れやすそうな所」でしょう。


イヤホン(スピーカー?)

インピーダンス 音声の再生は「クリスタルイヤホン・セラミックイヤホン」というモノでないと不可です。
 特に普通に売っているマグネチックイヤホンの類では駄目です。何Ωとかいう、「インピーダンス」が全く合っていません。
 簡単に言うと、太さの違う水道管をつなぐのと同じで、水(音声)が流れません。
 中身が銀色の箔で被せられているモノがクリスタルイヤホンですが感度が良い風です。黄銅色の金属板が見えるモノはセラミックイヤホンで、明瞭ですが、ややこもったキンキン声です。
 音色が違うだけなので、新型の方が好みだと言う人も居るかも知れません。
 最近の血色の悪そうな台湾製はリード線が長いので便利ですが若干ノイズを拾い易いようです。

 スピーカー等につなぐという大それた野望をお持ちの方は、インピーダンスをトランスで整合させねばなりません。入力は数十kΩとなります。


目当て これで「電網電氣講座・ゲルマニウムラジオ」、オシマイです。
 皆さん各自のご健闘をお祈りしつつ、ページを閉じたいと思います。
 (シリがこそばゆい)


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(c) PHALSAIL HeadQuarters