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工房のお話

その2・初めて作ったベンチの材料

前回は、半割り丸太のベンチ作りが始まったお話をしました。
この半割り丸太のベンチは、後にいろいろ型を変えて
井村工房のオリジナル家具として発展していきました。
名付けて”ログファニチャー”と呼んでいました。
ログファニチャーの材料は、元は磨き丸太の売れ残り材でした。

当時の林業の流行は、磨き丸太と、絞り丸太(床柱・とこばしら)でした。
特に天然絞りの丸太と、無節の柱材を採る
林分(りんぶん)を育てることが
林業では最高の収益を得られるといわれていました。
(”天然”絞り丸太・・・天然といっても
天然絞りの苗木を人工林で育て、摘寸に仕立てたものです。)

本当は、林業には流行はなく、
地味なだけの日の当たらない部分がほとんどで
最後30年とか40年とかたって
伐採した時が、喜びの時なのですが・・・。

当時(S45~55年頃)絞り丸太の価格は
人工絞り丸太・平均卸売値1本が1万8千円~2万5千円くらい、
天然絞り丸太で8万円~250万円(品種・品質により値幅が大きい)と
価格面だけを見ると、大変魅力的なものでした。

当時(S45~55年頃)無節の柱材の価格は
12センチ×12センチ×3メーターひのきの柱
一面無節・1本製品価格1万5千円(1)
二面無節・1本製品価格2万円(2)
三面無節・1本製品価格3万円(3)
四面無節・1本製品価格4万~5万円
と大変高価なものでした。


当時は絞り丸太生産の本場
京都の北山杉の林家や、九州の篤林家などで
絞り丸太やひのきの柱材で、
実際に高収益を上げている経営が伝えられていました。

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