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工房のお話

その3・初めての営業

私が木工を始めた当時の原木市場には、
皮をはいだ丸太が 出荷されていました。
今では皮付きの丸太ばかりです。

切り回し(きりまわし)という、カマの変形した道具と
皮むきヘラを使うと、
5月~9月ころまでに山林で間伐した丸太は
簡単に樹皮をはぐことができます。
(間伐=かんばつ。山林の手入れ法の一種。
山林が茂りすぎるのを防ぐために、植林した木を切ってまばらにすること。)

20年くらい前は、
杉皮の寸法を3尺3寸に測り、切り回しで切れ目をいれ
ヘラで上手に皮をはぎ(”しゃくりむき”といいます。)
はいだ皮を一箇所に集めて、具の目にして積み上げ、
切り株などの重しを掛けて押さえつけておくと
1坪単位でかなりな値で売れたものでした。
用途は、瓦(かわら)の下に結露防止のためにしく
今のアスファルトルーヒングの代わりで
昔は杉皮とか、
木を薄くけずったヘギ(関西ではトントン)とか言ったものが
瓦下の材料だったのです。








切り回しと、皮むきヘラです。
 

近所の栗畑にある
杉皮を壁材に使用した小屋です。

話がそれましたが、皮をはいだ丸太は
山林で切ってすぐの木より水分が抜けて
たいへん軽くなっており 搬出が楽にできます。
水分が抜けているので、乾燥も十分できています。

こんな原木丸太のバタ角採(ど)りの丸太が
ハエ積みになって出荷されているのを購入して
自家製材して、家具用材として利用していました。
(バタ角=9センチ×9センチ角の柱材のこと。
原木丸太での末口寸法は7センチ~12センチくらいまで)

この丸太を引き割るには
1馬力のモーターの昇降盤では、モーターが非力で
すぐにブレーカーが落ちて仕事になりません。

そこで、近所のスクラップを集めているところへ行って
廃棄された耕運機の、エンジンとミッションを分けてもらい
5馬力位のエンジンを修理して、溶接機で昇降盤に取り付け、
Vベルトで丸ノコのシャフトに連結して、ノコを回してみると
これが結構、丸太を半分に引き割ることができ
簡単なものを作る材を製材することができます。
当初2年くらいは、この方法で材料を作ったように思います。


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