まえのページ

小丸太や薄い板、半割り丸太などで、イスやベンチ、テーブルを作り
それを焼いたりして、いろんなものを次から次へ
考えをめぐらせて作品のレパートリーを広げていきました。

家具作りも、
作り手により、製造所の大きさにより、作る形態は色々ですが、
私は、原木から製品の完成・納入まで
今も一貫して個人で行っています。
楽しい反面、すべての作業をこなすため
木地を見極める目や、作る事、塗装、完成品の保管etc.
と、ある意味では大変で、非能率的です。

最初の作品を作った年の冬、
雪が降って、屋外の仕事に出られないときに
磨き丸太の作業場兼、倉庫にしていた現在の作業所で
思いつきの丸太家具の製作を始めました。

外は雪が降って悪天候です。
当時の作業所は今と違って、屋外との仕切りはシャッターだったので
作業のときは、シャッターを開けての仕事です。
舞い散る雪が、容赦なく吹き込んでくる、コンクリート床の作業場は
今考えると大変冷たく寒かったように思いますが、
当時は若かったせいか、それほど体にこたえた記憶はありません。

仕事の休憩は、作業所に付随した磨き丸太の磨き場所で
近所のポンコツ屋さんから分けてもらった
昔の石炭ストーブ(鋳物製=いものせい
溶かした金属を鋳型(いがた)に流し込んで作ること)で暖をとりました。

 

ベンチ・1人掛けのイス、
簡単な背もたれの付いたイス・ひじ掛けイス
半割り丸太の小さな応接セット、もちろんベンチも背もたれ付きひじ掛け付きと
をのときある材料でできる限りの、
思いつきの家具の製作の始まりです。

一冬の間製作に取り組むと
かなりの量の家具ができました。
一生懸命の家具ですが、
細かな所の出来は良くありません。

買ってもらう当てがないので
この家具をトラックに積み込み
我が家を朝出発して、家具の行商に出かけました。
売れる当てがないので、
国道を走りながら飛び込みでの売り込みです。

5件ほど回ると、手持ちの家具は売り切れて
懸命に話をするので
”次はこんなものをこういう風に作ってきたら買ってあげる”と
注文もいただいて、アイデアもいただいて、
手ごたえのある一日でした。

つづく


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