Pa TaMu o Kau aTo ya.
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概要
「カゥ・アト」とは大昔に描いた同人マンガ用の地底在住民族の言語である。言語として面白いので記録するに至る。
簡略化して促成講座の様になった。
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使用音素
a, C, e, h, i, K, L, M, N, o, P, s, T, u, x, y, z
C はチャ行、
x はシャ行、
z はツァ行。
「昇華音」(
^ 記号)は単語単位で発生する。→
昇華音の変音状況
KaMiNi^ →
gamindieii (ガミンディェイ〜)と読む。
基本文体
一語目(※)は必ず
コマンド語、
オブジェクト語が続く。
コマンド語は定められた約30語のみ。
Mu yaKa. 食う 魚。
Mu yaKa saNa. 食う 魚−多数。(訳でのハイフンは修飾関係)
Mu yaKa saNa^. 食う 魚 大いに。
※…前置詞
a が先行する場合がある事が唯一の例外。
オブジェクト語は、無変化では直接目的語(〜を)、昇華音化すると間接目的語、補語、副詞(〜に、〜で、〜へ)となる。
無変化の名詞が並ぶ時は修飾関係。修飾語は被修飾語の後ろに置く。
(「
saNa 多数」は形容詞的な名詞、「
saNa^ 大いに」は副詞)
Mu yaKa. 食う 魚。
Mu^ yaKa. 汝食う 魚。
コマンド語は、無変化では一般称(不定)だが、昇華音化すると二人称。単数複数の区別は無い。一般称は、何も無ければ一人称と認識される。(三人称は後述)
コマンド語は長めに発音される。またハッキリとした時制は無い。
代名詞のオブジェクト語
Ca, zi, Pa は普通の代名詞である。
Pa は唯一の指示代名詞であり、普通は既知情報を指す。例外は
Pa! 「あれ!」と指差す時ぐらい。
Mu yaKa zi. 食う 魚−汝。(汝の魚)
Pe^ yaKa Pa! 汝捕れ 魚−あれ!(捕獲者は未だ視認していない)
擬似名詞文
コマンド語として指示詞
Pa を使って、「〜がそこに(ある)」の様な言い方で擬似的に名詞文を作り得る。
Pa haNu. 在り 小刀(ナイフ、ペン)。「これは小刀です。」
意味としては華僑風の「小刀アルよ」に近い。
「A=Bだ」と言いたい場合は修飾関係(「BなるA在り」)で言う。
Pa aTi MaKa. 在り 父−頭(責任者である父)。
人称代名詞の
Ca, zi にも、これと同じ様な構文がある。
Ca MaKa. 我 頭(王・責任者)。「私は王だ。」
zi Kisa. 汝 奴隷。「汝は奴隷だ。」
これらの意味の場合では
Pa, Ca, zi 共に短く発音される。
(動詞という認識が無い為?)
毛色の違うコマンド語
形容詞のコマンド語もある。概ね「〜の様にする」という意味を含む。
Ko zi. 良い 汝。→「良いとする 汝。」→「好む 汝。」
Lo MuLu Ca. 大きい 家−我。→「大きくする 家−我。」
純粋に形容詞として使いたいなら、
Pa zi Ko. 「良い汝在り。」の様に言えば良い。
人称代名詞 Ca, zi は、動詞として使う事がある。「我(汝)はある(座る、待つ)」という意味であり、長く発音される。zi^ は二人称なので、当然昇華音になる。
次の様な用法もある:
Ca zi^. 我在る 汝で。→私は汝が原因で在る。→我は汝を待つ。
否定形→コマンド分詞
否定のコマンド語を用いる場合と、オブジェクト語を否定する場合とある。前者の方が力強い。二人称では禁止命令にもなる。
Mu yaKa, Na. 食う 魚、否。
Na yaKa Mu. 無し 魚 食う事。
Na^ yaKa Mu. 勿れ 魚 食う事。
否定のコマンド語の文型では見れば判ると思うが、コマンド語
Mu 「食う」が
Na に押されて文末に回っている。こうなったモノを
コマンド分詞と呼ぶ。
コマンド分詞と言っても、動詞の性質を持った名詞であり、オブジェクト語の一種でもある。副詞との位置関係は個人差があるが、強調したい場合は最後尾。
いきなりコマンド分詞として現れるモノもある。
Mu yaKa Pe. 食う 魚−捕る事。→捕る(捕った)魚を食う。
Mu yaKa o Pe. 食う 魚−捕る事。→捕る(だろう)魚を食う。
(
o については前置詞の項にて後述)
Pa 構文でコマンド分詞を受けると、一種の完了形の様な読まれ方をする。過去を強調したい場合にのみ使う。
Pa yaKa Mu. 在り 魚−食う事。→魚を食った経験がある。
言うまでもないが、形容詞や代名詞や Pa はコマンド分詞にはならない。
論理代名詞
名前が大袈裟だが「
zu 〜の人」「
Ka 〜の所」「
yo 〜のモノ・事」の事である。
Pa と組み合わせて「
zu Pa その人」「
Ka Pa そこ」「
yo Pa そのモノ・事」と使う事が多い。
Mu yaKa Pa Ka^ Pa. 食う 魚−その 所で−その。
固有名詞の昇華音化を避ける働きもある。
ToKio^ 「ドギオゥオ〜」より
Ka^ ToKio 「グワ〜トキオ」なら判りやすい。
古代の用法という名目で、人名など限定で「論理代名詞+昇華単語」、例えば
zu Te^ の様な並びで「宝の様な人」という意味になるという後付け文法がある。
前置詞・接続詞
独立した唯一の前置詞
o 。普通は「〜の(所有)、〜について」である。
昇華形が続くと「〜から、より、によって」という意味になる。
Pa KaNu Lo o MaKa. 在り ナイフ−大 の 王。→王の持ち物である剣。
Pa KaNu Lo o MaKa^. 在り ナイフ−大 から 王。→王の贈り物である剣。
コマンド分詞に
o を付けると、「〜するつもり、〜したい」という感じの意味になる。
Pa KaNu Lo o MaKa^ o ya. 在り ナイフ−大 から 王 の 与える事。
→王が与えるつもりであろう剣。
この「 o が割り込む用法」は、Na が先頭に立った場合の否定文では、しばしば混乱している。
前置詞扱いの
sa 「〜の様」というのもある。
接続詞
a もあるが、単なる「つなぎ記号」と見なして良い。
疑問詞
元になる単語は
xu 「何、誰」一つだけ。
これに変化を加える事で、いろいろな意味にする。
xu^ 何へ、どこへ
o xu^ 何から、どこから
Ka^ xu どこへ(明確的)…etc
数字
最初は五進法だった形跡がある。以下の通り:
exiTe=1 | xiNa=2 | xaLasa=3 | LiPaa=4 | saNa=5 |
sexiTe=6 | saxiNa=7 | saxaLasa=8 | saLiPaa=9 | |
以下
aLuPa=10 / Miaxa=100 / LeNe=1000 と続くが、これらは人体用語である。なおゼロは
Na 「無し」でごまかす。
e, xi, xa, Li, sa という略形があるが、数える時にだけ使われる。
数量を表す場合は必ず前置詞
o を介する。でなければ形容詞や副詞として読まれてしまう。
Mu yaKa o saNa. 食う 魚 の 5。
Mu yaKa saNa. 食う 魚−多数。
exiTe 「1」は
修飾される事で「〜のみ」という意味になる。
Mu exiTe yaKa. 食う 一つ−魚。→魚一つ(ばかり)を食う。
副詞、独立副詞
副詞(もちろん昇華音)は、たいてい文末に置かれる。個人差があるが、コマンド分詞よりも後ろに置くのが一般的。コンマを置くと更に明示的。
「独立副詞」というモノがあって、これらは必ず文末にコンマを介して置く。最初から副詞であり、
昇華音にならない。必ず
-Li で終わる特徴がある。
Mu yaKa Pe, saNa^, exiTe^, xiNa^, zaPaLi.
食う 魚−捕る事、いっぱい、一緒に、再び、絶対に。
→捕った魚を絶対また一緒にいっぱい食う。
合成動詞
これは用法ではなく、自然にそうなるモノである。「書く」という単語は無いが「字を為す」と言えば同義語になるという具合。
直接目的語を伴っているので、本来の目的語は補語の範疇に入るモノになる。
Pe Mesu TaMu^. 為す 字 板へ。(赤字部分が合成動詞)
Na Mesu TaMu^ Pe. 無し 字 板へ 為す事。(否定形)
複雑な文体
ここまでで概ね
カゥ・アトの構造は説明したが、どうがんばってもこの文法では複雑な文章を構築するのは不可能である。プログラム言語で会話するつもりになってみれば良く判るだろう。
そこで短い文を並べてつないで複雑な思考を伝える方法が採られる。プログラム言語であれば(行番号を付け)行替えする所を、一文にまとめて書くのである。
Pa Kau aTo, a Pe yo Pa, a Pa KiLo Ca o u, Kui^, a Na xiMu o u i.
在り カゥ・アト、為す モノ−その、在り 心−我 の 言う事、すぐに、無し 力 の 言う事 持つ事。
→カゥ・アトなるモノを作るも、素早く言いたき我が心在りても、言う力を持たず。
上の文では「カゥ・アトがある。」「それを作る。」「すぐに言いたい私の気持ちがある。」「言うつもりの力が無い。」という四つの文が連結されて表現されている。
無意味な接続詞
a でつないで行く。
a がある内は関連があるという訳。でも最終的には気分で読むワケで、異様に俗っぽい。
最後の部分は:
Na xiMu o KiLo Ca o u, Kui^.
無し 力 の 心−我 の 言う事、すぐに。
→「すぐに私の気持ちを言うの力が無い。」…という様な
o で要素をまとめる言い方もあり、この方が雅に上品に聞こえる事になっている。
主語が固有名詞などの三人称の場合、事前に主語だと宣言する必要がある。
Pa "iLi", a La zu Pa, xiNa^. 在り 「イリ」、見る 人−その 再び。
→「イリ(人名)」は再びかの人と会う(会った)。
事前に主語だと宣言する用法を応用して関係文を作れる。
zi, a Pe iTo Kui^. Na^ yo sa Pa u.
→汝在り、汝為す 眠り すぐ。汝無し 事−様−その 言う事。
関係文(赤字)「汝−すぐに寝るタイプ。」というカタコトであり、後半が一般称で語られている。(
Pe^ ではないのは単なる説明だから)
また、分詞的用法として通常の動詞文を名詞の様に用いる事がある。
i yo uCu. 「持つ 事−不定。」
Ne yo uCu zi. 「変える 事−不定−汝。」
→これらを「質問(すべき事)」「答え(るべき事)」という名詞として読む、など。
この場合の
i, ne は英単語で言えば having, changing (つまり分詞)とでもなろう。
これは比較的新しい用法であり、外来のものだとされる。
それまでは「質問がある」とは言えず、「我問う、汝答えよ」としか言えなかった。
つまり「質問」という(形の無い)名詞は無かった。
固有文字
仮設定されている
カゥ・アト文字である。
元は一筆書きだったが、粘土板用に楔形文字に落ち着いた。形は比較的踏襲されている。
ただし現実には、パソコン環境ではラテン字綴りで充分である。そういう訳で、作っては見たものの使えてないラクガキであった。
(「綴り止(め)」というのは単語の切れ目を表す記号(ただの縦棒)である)
Pa yo aLuPa xa, a ya yo Pa zi^, a ye.