クリスタル・鉱石・ゲルマラジオを作るという事は何かと言いますと、どこかに書いていますが「工夫と製造過程を楽しむ営利資本主義に反するホビー(遊び・暇つぶし・散財・無駄)」に他なりません。
今更こんなモンを実用機器として作るバカはいません。だから、楽しめる人だけ楽しみましょう。おててつないで悪平等は嫌いです。
ちなみにワタクシは実用機器として使っています。このページは、色んな事を実際にやってみた後での感想でもあります。なお、当該機器の名称が移ろっているので、ここでは「クリスタル・鉱石・ゲルマラジオ」と表記しておきます。その内「ショットキー」増えるかも
初歩的な壁(ただし超える出来る)
ここに来られた方々は、多分
・「感度上げたい!」
・「混信(混ざるの)困る!」
・「…とにかく聴きたい…」
…みたいな感じではないかと。
難しい話抜きで。
まあそういう取っ掛かりになれば。
感度を上げるのは簡単で、
とにかくアンテナを大きくするだけ
10m単位で。
…もちろんそこから新たな問題が
出て来るから困りモノなんですが。
多分そのままでは(コイルの特性変化で)
混信したり、受信周波数がズレたり、と
散々でしょうが、それをどう調整するか〜
が醍醐味なんですよ、この遊びって。
下記にありますが、例えば混信なら
アンテナコイルを別枠設けるとか、そういう
のを実際に手を動かして楽しむのです。
昭和です。
電波とは?
まず最初に電波なるモノの説明…と言いたかったんですが、これもまァ色んな人が色々言っている段階でというか、良く判ってない、と言ふのが正解のようですね、裏を取る為に色々とサイト・書籍を見て回ったんですが。
ま、人間界にはこの様な事、つまり「なぜ」そうなるのか判らないが「いかに」使うかは判ってゐる的な事は結構ザラにあります。
『波』というモノはありません。それは「状態(姿形)」を表す言葉です。だから「『波』が飛んで来る」なんて事はあり得ませんが、そう考える方が判り良いんですよ。だから「電波」なる概念が誕生したんでしょう。
それを時間単位で切り取りつつ形にしてみると「波」になってしまったのでしょう。
空気中に電気の粒々があって、それが隣り隣りと力を伝えて行く、という考え方もあります。空間中の「場」そのモノが揺れるという人もいます。
こうなると、シロート的には単純に「波だから飛ぶ(理由は知らん)」と割り切っておくのも良いのではないかと思います、学者じゃないんだから。
【追記】
上のマンガ見て:肩組んで横に揺れるのがFM変調、立ったり座ったりで波を動かすのがAM変調かと…
なぜ無電源でクリスタル・鉱石・ゲルマラジオは鳴るのか
どっちかと言うと、こっちの疑問の方が先立つのが自然な風な気もしました。
←ケムール効果
まー、ラジオが完成して、聴いた後で初めて「ん?なぜ鳴るの?」と不思議がるからイイか…
要するにエネルギーの伝播です。無電源じゃないんですよ、電波が電源なんです。
電波が飛んで来るだけのエネルギーが乗ってるという事は想像出来ると思います。その飛ばすエネルギーそのモノを電源として使う訳です。
というか、そのエネルギーがラジオの中を通るだけなんですが、その時に音声を勝手に産み出して残して行くと言うか…
つまり、積極的に増幅などしない、その増幅の為の電源が要らないというだけで、実は普通のラジオだってホントはコソーリ入感してるハズなんです、聴こえませんが。スピーカーじゃ、ねェ
更に、その聴こえん分を聴こうというのがクリスタル・鉱石・ゲルマラジオのレゾンデートルなのです。
特に震災以来、世の中は節電傾向にありますが、その方針にもってこいのラジオであります多分。
raison d'être ここにいてもよいりゆう・おフランス語
変調とは?
AMとは Amplitude Modulation 「幅変え調節」電波という事です。
ここに一定の周波数電波を発生させる発信機があったとします。その電源に音声の波を単純に足してやれば、音声の波の大きい時は発生する電波もちょっと大きく…という様に揺れる訳です。
※アンテナ回路に割込ませるのが史実だが判り良く記述※
※電波に於いては必ずプラス側とマイナス側が同じ様に出てしまいます※
上の説明は甚だ原始的なやり方ですし不安定ですので、現在はもーちっとモダンなやり方をしていますが、技術的には昔ながらの方法と言え、だから逆に堅牢確実歴史実績も長いので、いまだに使われています。
デジタル化とか言ってましたが、別にアナログAMを廃止する訳ではなさそうですね。災害などで見直されてますしラヂオって。
※なんか↑あんな盗聴機ホントにあったみたいだね、赤外線等使うヤツ※
DXと電離層
クリスタル・鉱石・ゲルマラジオには増幅装置やAGC(自動出力調整回路)が付いていませんので、電波任せ度合が強くなります。その電波の飛んで来る途中にあるのが電離層です。
さて電離層なるモノですが、上空数百km辺りに太陽光線の影響で出来たイオンの層といったモノで、電波を跳ね返す・曲げる性質があり、下からD層、E層、F層の様に重なっています。季節・時間によってF層は更にF1・F2と分離します。
電離層は、昼間の表面?は煮えたぎった湯の如く電波を撹乱する(むしろ)ジャマ者ですが、夜になると落ち着いて電波を跳ね返します。
上の層のモノほど、高い周波数に感応します。F層辺りは超短波付近というか…中波ラジオに関係するのはD層E層の挙動です。特にD層、中波にとってはジャマっぽい所があります。特に遠距離受信の際に。
D層は昼間だけ出て夜に消えます。だから昼間は最下のD層でジャマされ(むしろいちばん下で吸収してる?)、夜になると遠くの電波が(既に落ち着いてる)E層で反射されて聴こえる様になるのです。
(スポラディック某とかは中波にあんまり関係無いから割愛)
豆知識:中波は Moderate Frequency (中途な電波)という。Middle じゃないんですね。
コイルの巻き方
ヤミクモに巻いても良いコイルは作れません。理屈を知っておくとオリジナルの優秀なコイルが出来るかも知れません。
←ヤミクモ
コイルにはもちろんですが、銅線を巻く事でインダクタンス(コイルとしての主成分)が発生します。
ただし巻き線が長くなると当然「抵抗成分」が増え、イイカゲンに巻き続けると線同士の隣接が増え「コンデンサー成分」が…と相反する力が生み出されます。
抵抗成分は電流の流れを阻害し、コンデンサー成分は勝手にコイル成分と共振したり共振周波数を下げたりします。
作例写真のモノは変な形にする事で巻き線同士の隣接・重なりを減らしてコンデンサー成分を減らしていますが、巻き線が無用に長くなり、抵抗成分が増加しています。
更に推測するに星型のトンガリ部分がインダクタンス的に無駄になっているハズ…なんですが、そんなに変ではありません。分離はかなり良い様で、比較して出力の弱い民放や、遠くの局なども聴けています。うちうエネルギーか?
とは言え、お勧め出来る形ではありません。巻くのばかり大変で。ゆがんでるし。
理想的なのは、中空のパイプ(表面効果?)で大きな一回巻き(分布容量対策)コイル(てかただの輪っか)か?
アンテナとアース
クリスタル・鉱石・ゲルマラジオは、結局はアンテナとアースの端末に過ぎません。かなりショボくれたラジオでも、ちゃんとしたアンテナ・アースを準備すると格段に聴こえる様になります。
で、アンテナは長ければ長い方が良い、というコンセプトの元に実験していたんですが、長過ぎるとイタダけない気がして来ました。
調子に乗って30mとか張って回っていたら、要らん外国局ばかり入感するようになったのです。切り切り長さを調節していると、やはりというか、12m程度に落着きました。
12mというのは、いわゆる「標準アンテナ」と呼ばれるモノの水平部分の長さに等しいのです(二階の部屋から引き出しているので高さは既にある程度取っている前提)。
12mを絶対視するのではありませんが、何らかのピークの出て来やすい長さの内の一つでは?とか考えました。具合の良い波長の整数分の一とか。そういう事でそのアンテナは、少なくともウチでの標準アンテナになっています。
(あくまでも我が家環境の話であり、他では違う長さかも知れません)
アースの方は、そんなに気を使わなくてもちゃんと大地につながっていれば良い…という訳でもないんですが、アンテナよりかは楽な様です。
しかしウチ環境はやはり少しヨロシくない部分があって、やたらに長すぎます。だからでしょう、雑音を拾い易いのです。
しかも時々止まるので、何かの機械から出てる模様ですが、判りません。自分が触ると止まりますが、「逃がし」と称して別の長〜いリード線をつなげてみても変化全く無しです。出所はワシか?
こういうの、原因が隣家の機器だったりすると厄介。勝手にアースしに行ったりとか。どんだけ田舎か
あとウチは交差点に面していますが、信号機の機械が来てから雑音が…
アンテナの長さとその対策
左アイコンの様な単純なクリスタル・鉱石・ゲルマラジオの回路では、アンテナの長さがもろに同調周波数に響いて来ます。
アンテナは、コイルの一部を摘んで引っ張り出したモノの様な風であり、影響の出ない訳がありません。それでも数m程であれば、影響もある程度無視出来ましょう。
(都市部で2m足らずの電線を畳の上に放っただけアース無しで聴こえた)
これが5〜10mとかになると、さすがに上の方が聴けなくなったりとか分離がゲロ悪くなったりとか、弊害が出て来ます。もっと長ければ尚更です。
そこで手っ取り早い方法としてコンデンサーを挟む。つまり耳で聴こえる様な低周波的には切れてて、放送電波的な高周波だけは通す様な仕組みと言えます。
コンデンサーの容量は状況によって変ります。
アンテナの長さが:
・5m未満…それで聴こえるなら恵まれている環境。
・5〜10m…コンデンサーを挟むかアンテナコイルを増設する。
・10m超…アンテナコイルに更に直列にバリコン入れたりとか。
左図の様にアンテナコイルを分けるのは、上で述べた様なドタバタをアンテナコイルという別トコで処理しておいて、その結果だけを引っ張り出して検波しようという算段です。アンテナ長はお構い無しになります。
その時に、当然ですが直接つないでは元の木阿弥ですので、誘導結合という磁力を介しての接続(力の伝達)になります。
左図を見てもらえばお判りでしょうが、グルグル同士が向い合っている所がそうです。
ちゃんと作りさえすれば案外きちんと力の伝達が出来ますが、向こうの人の回路はまァなんちゅーかアレなのでハィ。
別の意味での巻き方の相違があります。アンテナコイルを分けるか、一つでごまかすか。
感覚的な図を左にしたためてみました。一つのコイルで賄うと作るのは(感度も軽薄に向上して)楽なんですが、チューニングの領域とアンテナコイルの領域が全部重なって仕事がはかどらない。
完全に分けてしまえば、お互いに邪魔にならずに(分離性能も向上して)良いけども、力の伝達等の互いの影響が弱くなる。部屋割りではそれで良くてもラジオじゃ困る。
そこでまぁ妥協してタップを付けてみよう。ある程度住み分けも出来るし、直接つながってるから力の伝達も楽々。多少ホコリはかぶるけれども。
…と、感覚的に描いてみました。
同調コイルの領域
←例えばガラクタ七号機…コイルは右から巻き始めているので同調棒を右へ振れば見かけの巻数が減ります。そうして高い周波数の局を受信します。
さて、左下にある補助可変コンデンサー(灰色)をズラして容量を減らすと、その同じ局を多めの巻数で同調する事になりますが、その方が感度が良い様に聴こえるのです。
タンクコイル、なんていう言い方もありますので、純粋に音声電流を励起する領域が多い方が有利だと単純に考えて良いんですかね?ワタクシ経験主義者なもんで理論に疎いから。
で、もしかすると、中波 531kHz 〜 1602kHz というのは広すぎるんじゃないか?という結論に達したのであります。上が下の三倍もあります。2 〜 3 個のバンドに分ける方が良いのではないか、なんて思っちゃったりなんかしちゃったりして。
そういう事で、古代風味プンプンのバリオメーター式十号機では、元々チューニング範囲が狭い事から、入力が二つ用意されています。
コイルに直につなぐ端子からだと概ね1000kHz辺りで頭打ちです。それより上はバリコンで結合を調整します。
そして出力の方もコイルの途中から引っ張り出されています。コイル全体がチューニングに使われているので、検波回路領分を少なくして邪魔しない様に?経験主義の観点から、小難しい理論とやらよりも、単に聴こえが良かったという現実からの選択です。測定器無いし。
スロープ検波
ただいま研究中ですが、FMの様な幅の変わらない電波から音声を搾り出す手法です。
放送周波数から少し離れた所から聴いてると、周波数の揺らぐFM変調は常に近付いたり遠ざかったりしてる事になり、それが擬似的なAM出力を生み出す事になります。
後はそれを普通にダイオードで検波すれば…と話は簡単ではなく、MHz帯という特性上、部品のリード線の長さですら影響してしまう環境なので労苦が絶えないという事で。
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