ゲルマニウムラジオを知ったのは、小学四年生ぐらいだったかと思います。「電池の要らない機械」という事に興味を持ったのです。
ありあわせのジャンク部品をつないで、「普通の」イヤホンにつないで何も聞こえない…からって、強引に電池を割り込ませて…何も起こりませんでした。
その後、学研の科学のフロクとしてゲルマニウムラジオが来ました。エライ貧相な普通のエナメル線コイル(しかもミュー同調)とコンデンサ1個、ダイオード、見知らぬイヤホン。(米兵の戦場での話も掲載)
でもそれが鳴る、悔しい。…という事で、自作熱が蘇りました。
こういうのもエネルギー・ハーベスティング言うのかね?
ど〜も最近の人はゲルマラジオ・鉱石ラジオ言うてもイメージ湧かんみたいなんで、上に写真並べてみました。
それぞれラジオホームから見に行けます。
※と言うのも何なので、上の写真からも行ける様にしました※
↑いきなりサイトホームに行ってもドン引きしない為の免疫イラスト
学研式に影響された当方のゲルマニウムラジオの作り方は、ミュー同調でした。
「トリオ」の並四コイルの説明書等には C 同調での作り方が載ってて…みんながやってる、じゃやんない、と。それに小型(煙草サイズ)に出来ます。
こんな「ただ巻いたヤツ」を持ち回って感度向上の実験。結果は「電話の指止め」が、アンテナとしてもアースとしても最高でした。(もう無い?)
都会の親類宅に自作二つ持って行き、従兄弟と深夜DJを聴いたり。都会じゃアース無し、数mのアンテナ線を畳の上に投げ出すだけ。(自宅(田舎)では無反応)
ダイオード等の検波器が手に入らない場合は、代用ダイオードの項目(別ページ)をご参考下さい。目ウロコ(反則)かも知れません。
←この様に、チューナー系の基板からダイオード類だけサルベージする方法もあります。
イヤホンだけはインピーダンス(後述)の問題で「クリスタルイヤホン・セラミックイヤホン」でなければなりません。実の所、裏技もあるんですが…それに、これを買えるなら、ダイオードやバリコンもそこで買えるでしょうし。
月日は流れ、ある日新聞に「ぼくらの鉱石ラジオ」なる書籍の広告が。金が無いので図書館に赴いたら上手い具合に新刊紹介の棚に飾っていました。更に自作熱が…
上が一般的なC同調ゲルマニウムラジオ(鉱石ラジオ)の回路図です。ミュー同調にしても同様です。電源は無く、飛んでくる電波のエネルギーだけで作動します。
※赤字は別ネタ※
ゲルマニウムラジオの基本的な回路です。しかも後半の抵抗、コンデンサーなどの部品は略しても一応聴けます。(原理無視)
アンテナ〜アース回路、同調回路、検波回路を分け、二連バリコンを用いて実験。(復調コンデンサ略)
結果は、同調範囲が極めて狭く、音量も小さく、短波?が混入しと散々でした。コイルも無意味に巨大化し、バランスの悪い機体となりました。
…という事で、時間は飛びます。
この後、もう数え切れないほどの実験を繰り返しました、計測器も無い手巻きの連続で。
ここの管理者(原理無視)は手を動かす方が先ですので。
![]() 感度 …どのくらい聞こえるか。音の大きさ。第一命題である。 分離 …混信(放送が混ざる)しない具合。ゲルマラジオは良くない。 アース …アンテナから入った電波を逃がす所。あると無いとで大違い。 検波 …電波を音声にする事。復調とも言う。 (名は電波の入感を知らせる意味の名残) 同調 …任意の周波数信号だけを選り分けて取り出す行為。 結合 …目に見えん力で影響を及ぼし合う関係。磁力とか、ね。 インピーダンスとか …とにかく、互いに合ってれば良い。(乱暴) インダクタンス・キャパシタンス・コンダクタンスとか …ソイツの器(うつわ・乱暴) |
最後にこんな、考えてない回路で実験。10回おきにタップを出したコイル、全くの宙ぶらりんです。
(タップは24個もあるが、本当は12個、双方から接続出来る様子を表す)
まるで期待していなかったのですが、なんと今までの物より遥かに好感度(泣)こんな事もある。
(この手のモノを一台用意しておくと実験に便利である)
ゲルマニウム(鉱石)ラジオでは、同調コイルがその趨勢を握っています。
そこで性能を上げる工夫が必要です。コイルにまつわる問題は:
1・インダクタンス 2・分布容量 3・Q(クォリティ) 4・Qに関連する「混信」など
・インダクタンスは巻き数に依存します。カット&トライで凌げばヨロシイ。
(実際は線や口径の太さにも依存しますが、他の事言えなくなるから)
・分布容量は厄介で、巻き線の間に発生します。巻き方をまばらにするのが早い方法ですが、大型化します。(先人もスパイダー巻きとか様々な巻き方を考案)
・Qはそれらの結果であり、向上すると自然に混信等の問題は消えます。
という事で、まずは「分布容量」改善です。
分布容量を減らす(Qを上げる)方法は、
1・コイルの径を大きくする 2・巻線を太くする 3・荒くバラ巻きにする
まとめて、コイルの径を大きく、巻線を太く、荒くバラ巻きにしたら…結果は上々♪
更にもう一工夫として三段巻き(別ページ)にしてみました。←バカ
R分 L分 -VVV--000- -| |- ----| |---- C分 |
左がコイルの等価回路です。L分が大きくてC分R分が小さいほど性能の良いコイルです。 例えばバスケット巻き(ウニウニ編込み巻き)だと、C分は減る・巻き線が長くなってR分が増える。 スパイダー巻きは、C分は激減・巻き線も短くR分も減る・でもコイルとして弱く?L分も減る。 |
・R分減らし→線の量を減らすか太くする・考えんとL分が減る、C分も一応減る? ・C分減らし→巻き線を出来るだけ並べない・大型化、変な形になって大騒ぎ ・L分増やし→巻き数を増やす・当然R分が増え、考えんとC分も増えそう 原理的にも二律背反・三すくみである! |
アンテナは高く長くが基本で、屋外アンテナの方が性能は高いです。(雷の危険はありますが)
木造家屋の様な「見なし導体」から出来るだけ離す方がより効率的です。左図赤線の様に、棒でちょっと(2mほど)持ち上げただけで、見違える様に感度が上がりました。
屋内をダラダラ這い回ってる長いアンテナ(赤線)より、空中をスッと一本通ってる(緑線)方が、効果的です。
アースは出来るだけラジオから短く、つまりラジオは一階で聞く方が感度が良い?ラジオを中心に長いアンテナと地中に仮想のアースアンテナ?があって、同比率になるイメージが最良です。
←参考になってない参考図
←電灯線アンテナは基本的に危険で、最近ではノイズ源も多くお勧めしませんが、やる場合は耐圧500Vぐらいのコンデンサーを通しましょう。
(ピーク電圧(いちばん高い部分)では、100V の√2 倍 ≒ 141V 出る)
満足なアースが取れない場合は、テーブルの耳(金具)の様な、それなりに質量のある導体にダメ元でつないでみましょう。
アンテナから入った電荷が流れ込む適当な容積(小さな地球)があれば良いのです。
※「地球」= earth ・どなたでも必ず上手く行くとは限りません※
ガス管は(確か法的にも)アースには使えません。
最近、室内アンテナ(別ページ)についてもいろいろ実験しています。
と言うのも、ノー天気に大きなアンテナを張れない方も少なくないのではと思っての事です。
更に、容易に安直に(既存の電線・導線等、切ったりつないだりせずに)作れないかと模索中です。
こうなるか?
コイルはトイレットペーパーの芯等に#24エナメル線辺りを100〜200回巻(条件で変わる)。
10回おきにタップを引っ張り出します。アース側から特に20〜30回巻き目辺りまでは欲しい。概ねそこらをメインのアンテナ接続に使うからです。
タップ付きなのは損失分を惜しんでの事ですが、入力が強いならアンテナコイルを独立させれば、分離(混信度合)も良くなります。
タップは、アース側から遠いほど感度は上がりますが、分離は悪化します。
(二律背反関係)
強電界地域では、ダイオードの直前にアンテナをつなぎ、アース無しで聞こえるかも知れません。
なおその場合、アースを直につなぐとコイルを巻き足したのと同じになって、同調周波数帯域が低い方へ狂います。
←※出力を、更に別のコイルで導き出す方法もある※
英語圏サイトでは、日本式とはちょっと違って、こういう形が主流です。
検波回路もタップから取る事で、同調コイル領分が増えてQが上がります。分離は良くなりますが、感度が下がります。
日本では大きいアンテナ設営が難しいから感度優先、庭の広い欧米では分離優先、と言った所かも知れません。アンテナ 70m とかな。
でもコイルはやっぱりトイレットペーパーの芯だったりする所が(泣)
【追加】
詳しい事はよく判りませんが、オーストラリア発祥の Mystery Crystal set ハァ?
(通称:ミステリーゲルマラジオ?勝手に和名)
アースが変な所に付いています。まーコイルの誘導(容量)結合だか何だかで電気的にはつながってるんでしょうが。
確か台湾?人が「神秘收音機」とか呼んでたような…
【追加】
ラジオ時代草創期に実在した、二段コイルで見かけの巻数を変化させる、オモチャの様なバリオメーター式のゲルマラジオ、意外に感度が良い。
「意外に」どころではない。
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