曇りのち晴れ・作上野貴子 本文へジャンプ


曇りのち晴れ・・・・・エッセイ集

  
毎日の日記とミニエッセイで綴った句集・・・・・・4月の章

パセリ

パセリ


  パセリと言えば、その多くは、元は地中海地方が原産のハーブの−種。爽やかな香りと、くせのあるほろ苦さが特徴で、よく料理の彩りとして添えられてあります。葉の緑色の濃いのが、料理の付け合せとして好まれている理由のひとつかと思いますが、この色合いが鮮度の表れで、すぐに葉がしんなりとしてしまいます。茎の堅さも鮮度が悪いと、忽ちしおれてしまい、パセリ本来の味もつやも無くなってしまいます。ところが、それをシャキッと蘇らせることが出来るのを、家庭の主婦達は、案外と知らずにいるのです。まず、しんなりとしてしまったパセリを茎の切り口の部分だけ、少し切って、それを、氷を入れたボールに付けて置くのです。なんと簡単。それだけでしんなりとなってしまっていたパセリが、数時間後にはシャキッと彩りも鮮やかに蘇るのです。コツと言えば、なるべくパセリ全体が、氷に浸かるように寝かせてボールに入れることぐらいです。簡単でしょう。是非お試し下さい。日本では、ほとんど季節の無い他国のハーブだと思われているパセリですが、実は、セリ科の植物で、春になると日本の庭先でも手軽に取れる栄養価の高い植物なのです。都会のご家庭でもキッチンの隅に鉢植えにでもしてみてはいかがでしょうか。ちょっとしたインテリアにもなって、きっと素敵です。


 

山吹の花

山吹の花


  四月から六月頃まで、日本全土にわたり山や谷を黄昏色に染める山吹の花。この山吹の花は、『山吹色』という色の名前にまでなるほど日本の代表花のひとつとされています。黄色い五弁の花には、−重咲きと八重咲きがあり、一重咲きには実がなるが、八重咲きには実がならないと言われているようです。『万葉集』にも数多く読まれていて、ほとんどが八重咲きを題材にしているため、実がならないものとされている歌が多いようです。太田道灌(おおたどうかん)の歌「七重八重花は咲けども山吹の実のーつだになきぞ悲しき」でも、やはり実はならないとされています。その姿は、か弱い枝に黄色い花がひときわ華やかで、実がならないなんて、思いもよらない不思議な話しです。万葉の昔から、野山に自生している美しい花だけに、この不思議な話しは、どこか哀愁を感じさせ、美しさを一層際立たせているのかもしれません。



 

捩花にびっくり

(ねじ)(ばな)にびっくり



  俳句を始めて間もない頃、季寄せで捩花の名前を知り、まず、何て読むのだろうと不思議に思いました。捩子では普通子が付く、捩じると書いてねじると読むのだから、ねじれた花でねじれ花なのだろうと思い、その花の形は、花びら全体が捩じれているのではないかと想像してしまったのです。ところがこの花は、今までに聞いたこともなかったはずなのに、日本全国何処でも野に咲く野草の花で、写真付きの花の歳時記を引張り出してみると、何と驚いたことに、花が捩じれているのではなく、真ん中の茎のような所に沢山の小さな花が螺旋状に横向きに並んで咲いているのです。どうにも滑稽で、愛らしい花の形ではないでしょうか。しかもあまり目立った葉がないのです。まじまじと歳時記の写真を見ますと、確かに捩じれて咲いていて、まるで龍の滝登りと言った感じです。野草の見せる自然の偉大さなのでしょうか。それから暫くして、私は自分の実家である千葉の大網と言う土地で、紛れもなくこの変わった花を見つけました。その話を母にしたところ「ああ、よくあるわね」と、軽く交わされてしまい、やはり私の無知だったのかと唖然としました。俳句の季語には年輩の方には何でのないような言葉が、私のような若輩者には、見たことも無い未知の言葉のように感じてしまうことが多々あります。けれども、いつの間にか年月をかけて勉強しているうちに、少しづつ現実みをおびてきて、今では珍しい季語を調べるのが、俳句を捻る時の楽しみにまでなっています。温故知新の精神でしょうか。これからも古き良き日本の季節感を忘れずに、何時も季寄せを片手に、俳句作りを楽しんでゆきたいと思っています。それも最近では、電子辞書の季寄せと姿を変えて来ていますが・・・・・