曇りのち晴れ・作上野貴子 本文へジャンプ


曇りのち晴れ・・・・・エッセイ集

  
毎日の日記とミニエッセイで綴った句集・・・・・・6月の章

夏を映す女神湖

夏を映す女神湖



  蓼科高原を、さらに蓼科山の奥へと進むと、女神湖と呼ばれる湖があります。人造湖でありながら自然に囲まれ、そのたたずまいを大切に保護されている女神湖は、蓼科高原にある「女の神山」から流れ出す水から出来ているせいでしょうか、広さも蓼科湖の二倍はあると言うのに、山奥のひっそりとした秘境と言った感じがします。野鳥の声も清清しく聞こえ、湖面の美しさを眺めながら、さまざまな足下の植物に目をやり、木道をのんびり歩くと、まさに心洗われる思いです。周囲のあちらこちらから流れてくる「女の神山」の水は、夏の暑さを癒してくれます。山から流れて来る小川は、湖の畔で小さな滝となり、せせらぎの音を響かせ、木橋から、水に触れてみると、それはそれは冷たく透き通り、日本アルプスの恵みそのものです。都内では、水は健康のもとで、わざわざ浄化までして、ビルのカルキ臭さを取っている現状ですが、この女神湖では、初夏の美しい水が湖面に「女の神山」の姿を映し、その姿はさながらギリシャ神話の世界のようです。とても日本とは思えない、この風景を日本アルプスの山々はまるごと覆い隠しているようです。美しい女神湖の自然を、いついつまでも讃え続けてくれるかのように・・・・・。


 

紀州の梅干

紀州の梅干


  梅干と言えば、日本人なら誰でもが懐かしいお漬け物です。干した梅の実を、紫蘇と漬け込む昔ながらの作り方は、今も変わらずに伝えられています。この梅干、我が家では、毎朝の食卓に欠かせないー品となっています。毎日の朝粥に梅干をーつと、大根おろし、それに納豆をかければ、もうこれは最高です。梅干にも、案外色々な種類があり、小粒の小梅から、大粒の紀州の梅までそれぞれで、味も紫蘇味から、おかか味まで、地方によってさまざまのようです。最近我が家で欠かせないのは、紀州の梅干。人気の高い紀州の梅干は、梅干の中では、わりに高め。都会のスーパーあたりでは、千円以上する時もあります。これを我が家では、旅行土産として、夫が飛びつき、幾つも買い込んで帰って来たのです。勿論、最近のゴールデンウイークの話しで、まあ混んではいましたが、コースは旅行会社にお任せの、のんびりとした夫婦の旅です。ツワーで回る観光地のお土産屋さんは何処も彼処も多にぎわい。紀州の梅干とあっては、レジで並んで買うありさまでした。それでも、こうして毎日朝の食卓に梅干が並ぶと、二人で行った旅を思い出し満足しています。あと何ヶ月、この梅干が続くか、とても楽しみです。



   

水面に咲く睡蓮の花

水面に咲く睡蓮の花


  睡蓮の名を知らない人はおそらくいないでしょう。六月あたりからの初夏の頃、水面に蓮の花に似た白い清楚な花が、ぽかりぽかりと浮かびながら咲いています。それが睡蓮の花です。その名の語源は、午後になると暑い陽射しに耐えかねてか、綺麗に開いた花を閉じて、早寝をしてしまうところから、睡る蓮の意味ではないかと言われています。それを、水の上に咲くので、水蓮と思い、そう漢字で当てたりして間違え易いようです。色は白に限ったものではないのですが、やはり、池のある寺院などに、夏の暑さを忘れさせてくれるような大きな葉から伸びた白い花は、こころが洗われるような思いがします。陽に焼けることを恐がるうら若き乙女が、午後になる前に水浴びでもしているような、やすらかな思いがします。睡蓮とは、そんな花なのではないでしょうか。