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歳時記手帳

温かなクリスマスケーキ     :上野貴子

自家製のケーキ片手に年の暮れ


 クリスマスがくる頃は、日本でもいつ雪がふるのか心配な反面こころ待ちにするような季節です。ところがこのところホワイトクリスマスは、なかなか無く、ここ東京では年内に初雪が降るかどうか解らないくらい年々気温が少しずつ上がっているようです。ほんの1度か2度の違いで、自然界は大きく変わってしまうのですね。昨年に続く猛暑のあとにきた濠雨にしても吃驚です。

 いつまでも終わらない夏の後にあっという間に秋が過ぎ、そうして冬です。冬がくると誰もが家の灯が恋しくなり、秋の切ない燈下にも増し、家の中の温かな暖房が楽しいものです。外に降る白く美しい雪を眺めながらクリスマスのケーキを頂くなんて、まるで絵に描いたような家族の風景ですが、そんな、温かなクリスマスを夢見て、いつでもサンタクロースがどこかにいるような気がするのは、決して子供達ばかりのことではありません。 大人になっても、せめて温かなクリスマスを味わいたくて、我家では、自家製のオリジナルケーキを作っています。クリスマスのケーキには、世界中の色々な種類のものがあって、それは選ぶのが大変ですが、定番のブッシュドノエルの他に、今年は最近よく聞く新しい菓材のル・レクチェを使った焼き菓子タルトを作ることにしました。冬場は御菓子にあった果物が少なく、冬の林檎や温室育ちの苺など、季節感があまりないものが多いので、この新種の梨を使うことにしました。このル・レクチェは、洋梨の部類ですが、日本で新しく改良された物で、とても甘味があり、瑞々しい梨の種類です。こんな国産の洋梨の新種が美味しいのも面白いですね。美味しくて林檎にも似た味がケーキを引き立ててくれて、今回も大成功です。また新な菓材のくだものが増えました。




              (「おしゃべりHAIKUの会」会報2012年1月号掲載より)