杏子のほろ苦さ・・・著:上野貴子
お菓子には欠かさぬ杏のジャム作り
杏子はなんだか可愛い小さな実です。花は春に咲き梅に似ています。梅も早春に花を付け初夏に青梅として実になり、色ずくと実梅といい、食べたり梅干にしたりして、日本人が大好きな食卓に欠かせない食べ物です。杏子の方は、これはもう日本人にとどまらず、世界中の人がアプリコットとして、ジャムやソースに大人気です。もうひとつよく似た李がありますが、李は酸っぱい味がして、この頃ではプラムとしてよく食べられています。なんとなくこうしてみると、桃の小さくて甘さが無い堅い実が、杏や梅や李やかな?と思ったりします。いい薫りがただよう桃の実と少し違って、酸味のある淡い薫りがして、そのままよりも何か手を加えて食べます。梅は梅干、杏子はジャム、李はこれは品種から新種のプラムです。杏子と言えばなんだか御菓子によく使われていて、胡桃やアーモンドのように世界中にある実です。
杏子を丸ごとそのまま何かの食材に出来ないかとスーパーを覗いて見ましたが、案外ないものです。桃は夏になればよくあります。実梅も梅酒や梅干用にセットになったりしてよく見かけます。ところが杏子は、どうしてだか案外無いのです。そのままではあまり食べないからなのでしょうか?そうなるとよくあるのが缶詰です。これはよく見かけます。あとはすでにジャムになっているものです。
ジャムでも果実が具のように含まれている物を探せば、御菓子作りには充分です。杏子の美味しさがとろけるように煮込んであるジャムを、パンケーキなどに入れて焼くと、ほんのりとした香りに苦味が含まれ、とても爽やかな清涼感さえ感じる美味しさです。
(「おしゃべりHAIKUの会」会報2012年9月号掲載より)
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