おしゃべりケーキ物語

本文へジャンプ

新刊「おしゃべりケーキ物語」
著者:上野貴子
文藝書房より刊行



●エッセイ

1お正月料理は控え目に
2トリュフで深める夫婦の愛
3春色のお菓子を求めて
4待ちに待った苺姫の到着
5爽やかな風に乗って青林檎
6枇杷の実る庭で
7南国の甘い贈りものマンゴー
8大地の恵みひと粒の巨峰
9ほくほくのお月見タルト
10梨のあれこれ
11ハローウィンには南瓜のケーキ
12柊の実を灯し



★★★句の抜粋★★★


おしゃべりケーキ物語・著上野貴子


11ハローウィンには南瓜のケーキ

 日本でもこの頃は、ハローウィンが、かなりポピラーなお祭りと成っています。
 十月の三十一日に行われる子供たちの仮想パーティーのようなものなのでしょうか?お化けや魔女、そして南瓜に化けたりして、子供たちが、それぞれの家を回って、御菓子を貰う風習のようです。
 面白いのは、これにちなんで、商店街の店先に、魔女や南瓜の飾りが、賑やかに飾られることです。
 これからだんだん寒くなる前の、賑やかな景気付けとでも言いましょうか?まるで、クリスマスやバレンタインデーのような風景です。
 こんな時は、今時流行りの奥様気分で、綺麗に飾られた商店街で、ケーキ屋さんからお花屋さんまで、さまざまな、ウインドウショピングを楽しむのも、またいいものです。
 このハロウィンと言うお祭り、日本の俳句歳時記では、ほとんどまだ季語にはなっていない、海外のお祭りですが、いろんな楽しいお化けが、町の商店街に表れて、なんとも、不気味なようで、面白いお祭りです。
 私が、このハローウィンで、何よりも気に入っているのは、南瓜を使った、さまざまな、見た目も楽しいスウィーツです。
 パンプキンパイを筆頭に、プリンやケーキ、タルトやアイスと様々にアレンジされたスィーツが、この季節が来ると、ケーキ屋さんの店先に、所狭しと並んでいます。
 さあ、まずは、何から頂いたらいいのか、色もカラフルで、目移りしてしまいそうです。
 そんな、異国情緒たっぷりな素敵な、お化けのお祭りに、夜な夜な、子供も、大人も、我を忘れて、変身気分で浮かれています。
 このお祭り、そもそもは、子供が主役ですから、子供のいない、私は、こんな時は、ちょっと寂しい気分もしますが、そんなことは、お構いなしです。
 このお祭り騒ぎに便乗して、我が家は我が家なりに、大いに楽しんでいます。
 もとは、この季節は、

「これから寒くなるので、風邪など引かないように」
 とそんな思いも兼ねて、この南瓜が何かと持てはやされていたようなのです。
 そんな南瓜とは、ごろ合わせのような話ですが、その昔、カンボジアから、海を越えて、

「どんぶらこ〜、どんぶらこ〜」
 と渡って来た瓜の一種で、暑い南の国からやって来たので、読んで字の如く、『南瓜』と言うそうです。
 日本では、この南瓜は、冬至の頃に食べるのが古くからの風習のようです。 その字ずらとは裏腹に、この南瓜は、

「南の国の太陽の甘さが、きっと、滋養強壮にいいのです」

他には無い、風邪の予防薬となっています。
子供のお祭りとは言え、大人の私は、毎年、そんな風邪対策でもある、南瓜のお菓子で、ひと工夫も二工夫もしているのです。
 栄養満点の南瓜の旨みを、最大限に生かすには、ほくほくとした茹でた甘さを逃がさないようにするのが一番です。 さあ、そうなると、その甘さを生かして、今月の手作りタルトには、サイコロ南瓜なんぞを乗せてみようかと思い立つのでした。
 南瓜は、焼き菓子にもむいていますから、せっかくの旨みを、すりつぶして、パイにしてしまったり、プリンにしてしまったりするよりも、サイコロ状に、軽く茹でた南瓜を、形が崩れないように、たっぷりと生地の上に乗せてみても、ありそうで、以外なタルトに仕上がるかもしれません。
「よ〜〜〜し、これで、今月のハロウィンケーキは決まり」
「環境に優しくて、体のためにも最高!」
 この頃では、南瓜だけで無く、オーガニック野菜とやらが、注目されていますから、この南瓜も、食べるために、甘く煮るのでは無く、そのままの旨みを生かすのが一番いいのではないでしょうか。
 そうなると、このオーガニック野菜は、まだまだスーパーなどでは、特別なコーナーでも無いと、簡単には、手に入りずらいものですから、御菓子作りには、はたしてどんなものでしょうか。これは、仕方がありませんね。
 どこでも手軽に買える、普通の南瓜で妥協するしかなさそうです。
 あまり取り寄せずらい買い方をすると、また今度、南瓜のケーキを作りたくなった時に、どうすることもできなくなってしまいそうです。
 御菓子作りは、この甘さかげんが、少々、面倒なのです。
 兎にも角にも、ハロウィンの、お祭り騒ぎを、見ているだけでは、大人だからと言って、ちょとつまらないものですから、この手作りケーキの材料に、あれこれと思いを巡らすのも、この時期の、また、ひとつの楽しみなんです。
 それでは、風邪などひかないように、充分に気を付けて、冬を迎えましょう。

 

 

        ハローウィンに南瓜のケーキ躍り出し  貴子


 
Let's
  おしゃべりクッキング俳句
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
南瓜

 南瓜は季語としては秋の野菜ですが、日本では冬至に柚と食べると風をひかないと言われています。普通は似たり蒸かしたり、お芋のようにして食べますが、このごろでは、アメリカからの流行で、ハロウィンに南瓜のお化けを飾ったり、ケーキにして食べたりします。南瓜にはカロチンが多く含まれていて、緑黄色野菜の少ない冬の野菜として貴重だったようです。現在ではいつでも手に入りますが、やはり旬は秋から冬でしょう。以外なことにイタリア料理に欠かせない最近人気のズッキーニも南瓜の洋種の一つだそうです。



おしゃべりHAIKUの会(俳句)


 Let’s おしゃべりクッキング!!!


★★
★パンプキンタルト★★

 

パンプキンタルトの材料



ビスケット 21Cm型                               

  バター・・・・・80g

塩・・・・・少々

薄力粉・・・・・160g

砂糖・・・・80g(お好みで調節)
卵・・・・・25g約1/2個     

バニラエッセンス・・3〜4滴 

アーモンドクリーム21Cm型 

 

バター・・・・・80g

塩・・・・・少々

卵・・・・・80g

バニラエッセンス・・2〜3滴

アーモンドパウダー・・100g            

ベーキングパウダー・・小さじ1/

   デコレーション・・・・南瓜半分目安。杏のジャム適量。


ビスケットの作り方

 下準備

  ●バターは室温で柔らかくします。
  ●卵はよく溶きほぐしバニラエッセンスを入れます。
  ●薄力粉にベーキングパウダーを混ぜふるいます。
  ●型にバターを薄くぬるり、クッキングペーパーをタルト型よりひとまわり大きく切り、
  切り込みを入れ型に合わせて敷きます。


 作り方

1 ボールにバターと塩を入れ、泡立器で柔らかいクリーム状に練り砂糖を2〜3回に分けて加え、よくすり混ぜます。

 

2 そこにバニラエッセンスを混ぜた卵を2〜3回に分けて加えます。

 

3 卵が全部混ざったら木べらに持ち替えてふるった粉類をー度に加え、木べらを立て、切るようにさっくりと混ぜます。

 

4 ほぼ混ざったら、今度は木べらを寝かせボールの縁に生地を数回すりつけるようにして充分に粉を馴染ませます。

 

5 しっとりと粉がなじんだ状態で、ひとつにまとめラップに包で20分以上冷蔵庫で冷やして休ませます。

アーモンドクリームの作り方

下準備

  ●バターを室温で柔らかくします。
  ●卵をときほぐしバニラエッセンス2〜3滴入れます。
  ●アーモンドパウダーにベーキングパウダーを混ぜてふるっておきます。

作り方

 

1 バターを溶かし練って、塩を少々ふるって泡立器で混ぜ、砂糖を2〜3回に分けすり混ぜ、よく混ざったら、卵をやはり2〜3回に分けてよく混ぜます。

 

2 アーモンドパウダーを加え、泡立器でクリーム状になるまで、充分に混ぜ合わせ生地を作ります。

 

3 タルトのビスケットを伸ばして型に合わせて敷き、底にホークで穴を空け、その中にアーモンドクリーム生地を流し入れ、カードで表面を平らにします。

 

4 南瓜は茹でて、サイコロ状に切り、ぎっしりと生地の上に並べます。

 

5 それを170℃のオーブンで、約30分金網にのせて焼き、残り10〜15分130℃でこんがりと焼きます。

 

6 焼きあがったら、アンズのジャムを上にかるく塗り、パンプキンタルトの出来上がりです。