おしゃべりケーキ物語

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新刊「おしゃべりケーキ物語」
著者:上野貴子
文藝書房より刊行



●エッセイ

1お正月料理は控え目に
2トリュフで深める夫婦の愛
3春色のお菓子を求めて
4待ちに待った苺姫の到着
5爽やかな風に乗って青林檎
6枇杷の実る庭で
7南国の甘い贈りものマンゴー
8大地の恵みひと粒の巨峰
9ほくほくのお月見タルト
10梨のあれこれ
11ハローウィンには南瓜のケーキ
12柊の実を灯し




★★★句の抜粋★★★


おしゃべりケーキ物語・著上野貴子


 12柊の実を灯し


 クリスマスの季節が来ると、町には、冷たい北風を吹き飛ばすように、街路樹や商店街のビルに、カラフルなイルミネーションが灯ります。
 それは、まるで夜空の彼方から、サンタクロースが赤鼻のトナカの引く、橇にでも乗って、降りてくるかのような、星屑で出来た、夜空の滑走路です。
 きらきらと灯る、色とりどりのイルミネーションの星が、まるで、美しい神話を見ているようです。
 毎日、クリスマスまで残された日にちを、指折り数えるような、そんな年の暮れ。
 誰もが、クリスマスのジングルベルに心を躍らされ、どこかにサンタクロースが、きっといると夢見がちなそんな頃。 そのまま掌に乗せたいような、可愛いらしい柊の赤い実が、こんがり焼けたケーキの上に、チョコンとのっている姿を町のケーキ屋さんで見かけるようになると、それはまさしく、クリスマスイブが間近に迫って来た証なのです。
 英国風のプティングや、オーソドックスなショートケーキ、チョコレートショコラやタルトと、クリスマスケーキにもお国柄がいろいろあるようですが、クリスマスのケーキと言えばヨーロッパでは、今も昔も縁起のいいケーキと言われ根強い人気を誇り、我が家でも毎年欠かさず焼いているのが、ブッシュ・ド・ノエルです。
 このケーキを焼くことが、ここ世田谷に嫁に来てからの、私のクリスマス行事と成っています。
 手作りのブッシュ・ド・ノエルは、簡単なようで、時間や手間がかかり、案外と珍しく、毎年十二月にもなるとスーパーのお菓子作りコーナーで、必要な材料を探すのが、今ではもう何よりの楽しみです。
 私が、子供の頃は、アイスクリームのケーキが大流行で、季節感は無いものの、よく年末のお土産にも頂いて、時には二つも三つもあって食べ切れないくらいだったのですが、今ではアイスクリームケーキは、あまり流行ら無いようですね。
 むしろ、生クリームたっぷりの冬苺を乗せた、ふんわりとしたクリスマスケーキが定番のようです。 切り株の形をした、ロールケーキのブッシュ・ド・ノエルを焼くのは、日本では、まだまだ珍しいよう。味はチョコレート味なので、少し甘さを控えれば、大人のクリスマスにも最好。チーズやワインとの相性もバッチリで、私達夫婦がふたりっきりで迎えるクリスマスには、丁度、いい訳です。
 クリスマスイブの夜に夫婦二人で出来たてのブッシュ・ド・ノエルにナイフを入れ、食べきれない分を、次の朝に残しておく。
 そして、サンタのおすそ分けに、スープの冷めない距離に居る、上野のお姑さんの所へお届けする。
気持ちばかりのほんの一口のおすそ分けですが、これが出来れば、それで、今年一年間の、私の妻の仕事も一段落。
「まあ、日頃たいした妻でもないので、お姑さんのご機嫌取り・・・」
 とでも言うところですが・・・・・残念ながら子供のいない私達が、今年も一年間、何ごとも無く、どうにか幸せに過ごせたことへの、感謝の気持ちです。
 今年も何時もの年と変らず、ブッシュ・ド・ノエルは、我が家の定番ですが、毎月のティーHAIKU会の方は、毎年同じケーキとはいきません。
 このところのタルト熱で、クリスマスもやっぱり可愛いタルトケーキのアレンジがいいか?はたして、この時期、いいアイデアはあるか???そうです。クリスマスなんですから、欧米では、林檎をツリーに飾りますよね・・・
「よ〜〜〜し、冬林檎のタルトに、柊の赤い実を飾って、私風のクリスマスタルトにしよう」
「白い粉砂糖を雪のように振り掛けて、きっと柊の赤い実が、とっても素敵に違いない!」
 とこれで、句会での句材も決まりです。
 こんな、誰でもが、何処かにサンタクロースがいるものと想像して、御伽噺の中にさ迷い込んだようなクリスマスは、この国でも欠かすことの出来ない、年末の年忘れ行事のようなものです。
 子供から大人まで、老若男女を問わず国境を越えた誰もが、どこにもいないはずのサンタクロースを待ち続けて、何時の間にか、そんな月日を重ね、時を越えて、大人になってゆくのです。
 そして、今度は、あっという間に親になり、そのうちには、とうとうお爺さんや、お婆さんとなり、まるで、橇に乗ったサンタクロースのように、長い髭を生やした、白髪姿になってゆくのですね。
 世界中が、夢を見るような、そんな楽しいクリスマス。また今年もジングルベルの歌声とともにやって来て、そして、新な年を運んでくれる・・・。
 何だか、幾つになっても、子供のような気持ちで、クリスマスの日がやってくるのが、とっても待ちどおしいです。

 

 

 

        大切な小箱はクリスマスケーキ    貴子

 

 
Let's
  おしゃべりクッキング俳句
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

林檎

 
りんごは日本では秋から冬にかけて良く見かける果物です。実際に成熟するのは夏の終わりから秋にかけてで、スーパーなどで一年中見かけるのは貯蔵法に秘密があるようです。「CA貯蔵法」という技術で長期保存が可能になり、家庭ではせいぜい数週間しか日持ちしないりんごが一年中食べられるです。
 りんごと言えばアダムとイブの紀元前の頃からトルコやエジプトですでに栽培されていたと言われています。日本では、明治時代になってから本格的に栽培されるようになったとされています。イギリスでは有名な「アイザック・ニュートン」が万有引力の法則を発見するきっかけとなったとされています。世界中で愛されている果物なのですね。
 栄養成分としても、さまざまな病気の予防に効果が期待できるため、まさに「医者いらずの果物」と言えるでしょう。




おしゃべりHAIKUの会(俳句)


 
Let’s おしゃべりクッキング!!!

★★★冬林檎のタルト★★

冬林檎の焼き菓子タルトの材料



ビスケット 21Cm型                               

  バター・・・・・80g

塩・・・・・少々

薄力粉・・・・・160g

砂糖・・・・80g(お好みで調節)
卵・・・・・25g約1/2個     

バニラエッセンス・・3〜4滴 

 

アーモンドクリーム21Cm型 


  バター・・・・・80g

塩・・・・・少々

卵・・・・・80g

バニラエッセンス・・2〜3滴

アーモンドパウダー・・100g            

ベーキングパウダー・・小さじ1/


  
デコレーション・・・・林檎数個。杏のジャム適量。粉砂糖とアーモンドスライス適

ビスケットの作り方


下準備

●バターは室温で柔らかくします。

●卵はよく溶きほぐしバニラエッセンスを入れます。

●薄力粉にベーキングパウダーを混ぜふるいます。
 ●型にバターを薄くぬるり、上からクッキングペーパーを型に合わせて敷きます。

 

作り方

 

1 ボールにバターと塩を入れ、泡立器で柔らかいクリーム状に練り砂糖を2〜3回に分けて加え、よくす

り混ぜます。

 

2 そこにバニラエッセンスを混ぜた卵を2〜3回に分けて加えます。

 

3 卵が全部混ざったら木べらに持ち替えてふるった粉類をー度に加え、木べらを立て、切るように

さっくりと混ぜます。

 

4 ほぼ混ざったら、今度は木べらを寝かせボールの縁に生地を数回すりつけるようにして充分に粉を

馴染ませます。

 

5 しっとりと粉がなじんだ状態で、ひとつにまとめラップに包で20分以上冷蔵庫で冷やして休ませます。

アーモンドクリームの作り方

 

下準備

  ●バターを室温で柔らかくします。
  ●卵をよくときほぐしバニラエッセンスを2〜3滴入れます。
  ●アーモンドパウダーにベーキングパウダーを混ぜてふるっておきます。

    

作り方

 

1 バターを溶かし練って、塩を少々ふるって泡立器で混ぜ、砂糖を2〜3回に分けすり混ぜ、よく混ざっ

たら、卵をやはり2〜3回に分けてよく混ぜます。

 

2 アーモンドパウダーを加え、泡立器でクリーム状になるまで、充分に混ぜ合わせ生地を作ります。

 

3 タルトのビスケットを型に合わせて敷き、その中に生地を流し入れ、カードで表面を平らにします。

 

4 林檎を剥き月型状に切り、ぎっしりと生地の上に並べます。

 

5 170℃のオーブンで、約40分金網にのせて焼きます。

 

6 焼きあがったら、アンズのジャムを上にかるく塗り、まわりにアーモンドスライスを乗せ、粉砂糖をかけ、林

檎のタルトの出来上がりです。