おしゃべりケーキ物語

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新刊「おしゃべりケーキ物語」
著者:上野貴子
文藝書房より刊行


●エッセイ

1お正月料理は控え目に
2トリュフで深める夫婦の愛
3春色のお菓子を求めて
4待ちに待った苺姫の到着
5爽やかな風に乗って青林檎
6枇杷の実る庭で
7南国の甘い贈りものマンゴー
8大地の恵みひと粒の巨峰
9ほくほくのお月見タルト
10梨のあれこれ
11ハローウィンには南瓜のケーキ
12柊の実を灯し





★★★句の抜粋★★★


おしゃべりケーキ物語・著上野貴子


 7南国の甘い贈りものマンゴー


 夏になると、あちこちで、やたらとマンゴーフルーツの実を、見かけます。
 トロピカルフルーツの王様とも言われる、パイナップルやバナナと、同じように、最近では、種類も豊富で、国産の西瓜やメロンのように、猫も杓子も飛びつく勢いで、何にでも、うまく利用されています。
ジュースやジェラード、アイスクリームやケーキにジャムと、形や品を変え、海を渡って、南の国からやって来る、まさに、夏の果物の代表のようです。
 そんな、マンゴーフルーツを、今月のティーHAIKU会のケーキに、何とか取り入れたいと、どんなケーキにいいのか考えました。
 以前、タルトの上に、たっぷり乗せたマンゴータルトを、いち早く作って、好評を得たのですが、また、今年も同じでは、詰まりません。

「何か名案は無いものか」
 と日夜、考えながら、歯を磨きながらも、

「こんな、チューブのチョコレートが、昔あったな〜〜」
 と思ってみたり、手を洗いながらも、

「石鹸のような形のチーズって、あるな〜〜」
 と考えてみたり、花に水を遣りながら、

「バラの花ビラのようなクリームって、昔、懐かしい気がするな〜〜〜」
 とか・・・・夏の暑い最中に、そんなこんなと考えながら、ふと、冷蔵庫の扉を開け中を見渡してみると、するとそこには、何気なく、幾つかのゼリーが、重ねて入れてありました。
 よく見ると、オレンジ味に、メロン味、それに、ピーチ味と、色鮮やかな、フルーツのゼリーです。何とまあ、可愛らしい色合いでしょう。
「これはいけるわ!」
「カラフルな色合いに、渋みがかった黄色は、ちょっと、どこか新鮮だし・・・・・今年は、マンゴーゼリーにしてみよう!」 ゼリーのお菓子は、栄養価も高く、女性には嬉しい、お肌にもいい、ゼラチン質だし、実は、ここだけの話ですが、こんな私は、夏の疲れに負けないようにと、紫外線対策の季節には、毎年、欠かさずエステサロンに通っているのです。
 いつもなら、何でもないような紫外線が、オゾン層の破壊とやらで、言うまでもなく、肌にジリジリ痛い夏を迎え、もう若くもない、私の肌は、疲れがたまって、ボロボロです。
 日焼けに弱い体質の薄い肌なので、どうしても、この時期になると、小皺ソバカスが増えてしまいます。
 ビタミンを豊富に取り、なるべく日焼けをしないようにと、心掛けてはいるのですが、年々そうは言ってもどうしても気になります。
 そこで、やっぱり今月は、この季節の果物を使った、ゼリーのケーキです。
 フルーツケーキと言うのもありますが、干した果物を使った焼き菓子が多く、ゼリーのケーキに入っている、丸ごとの果物の、ビタミンと、ゼリーのゼラチン質に比べると、数段の違いがあります。
 見ただけで、ゼーリーのケーキは、ビタミンもたっぷり。お肌には絶対的にいいはずです。

「真夏の疲れを癒すために、冷た〜〜く冷えたゼーリーを頂く」
 喉から胃までツルンと滑るように流れ込み、体じゅうがいい感じです。
 女性には、この上ない至福の時でしょう。とにかく夏の疲れを取るにはゼリーがなにより。
 そんな、人知れぬ齢の悩みや、なんやかやも、あいまって、今年は、マンゴーゼリーにしようと、こころに決める私なのでした。
「そうです。そうと決めたら、もう、それしかありません」
 小さなカップ式の型に入れてプリンの大きさに固めればバッチリです。
「さあ、それではマンゴーフルーツのゼリー作りに取り掛かりましょう」
 まず、マンゴーは、皮を剥きます。
 さっそく、この時が第一関門。まずは、実の部分だけを、適当な大きさに、種から削かなければなりません。皮は案外剥き易いのですが、中の種が、平べったく、形がまちまちで、なかなか上手く実だけを、綺麗に削ぐのは、至難の業です。
 次ぎの第二関門は、そのままミキサーにかけるのがコツです。何かのソーダーや水などで、薄めずに、丁寧にミキサーにかけます。そうして、マンゴーの果実だけを絞り、100%のまろやかな果汁を作ります。混じりっけ無しのマンゴー100%果汁です。これが、今回のゼリーの美味しさを引き出す最大のポイントなのです。これで、色合いも鮮やかですし、味も甘さ控えめな、マンゴーフルーツの天然果汁100%の味が出るのです。
 そして、最後に、最大の関門は、ゼライスの分量の割合を、程よく、間違えずに、混ぜることです。これが、慣れるまでは、かなり難しいのですが、間違ってしまっては、これまでの苦労が水の泡です。
 この三点の関門を、見事に潜り抜ければ、文句無しの美味しいマンゴーゼリーの出来上がりです。
 この黄色い宝石のようなマンゴーゼリーを、夏らしい硝子のお皿や、白い清々しい器の上に、上手に型から取り出せば、それでもう出来上がりです。この時に、あまり柔らかいと、どうしても、型崩れしますから、上手く分量を調節して、程よく固めるのがコツなのです。
 プルルンと、夏のお皿に乗るマンゴーゼリーの姿から、南太平洋の真っ青な海からの波音が、ここ日本の小さなテーブルの上まで聞こえて来るような、とっても素敵な南国からの夏の贈り物のです。



       マンゴーの炎える熱さを冷し菓子   貴子



 
Let's
  おしゃべりクッキング俳句

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パパイアとマンゴーの
      切り方って難しい!

 パパイアもマンゴーも日本ではまだ珍しい南国の果物です。二つとも丸ごとの姿は似ているようで実は随分違いがあります。食べるために切ろうとするには間違えないように要注意です。どちらも種を取って食べるのですが、まずパパイアは、実の中心に黒い小粒の種が沢山詰まっています。そして、そのぎっしりと詰まった種を取ってカットして食べます。それでは次にマンゴーですが、このマンゴーの種は、何とも形が平べったくて細長い、変わった形の大きな種がひとつ実の中心にあります。そのため、二つに切って種を出す訳にはいかないのです。では、どうすればいいかというと、長細い実を縦に三っつに切るのです。つまり、種を挟んで三等分に切り分けるのです。真ん中に種のある部分がきますから、そこは、少し薄めにしてもいいでしょう。そして、両サイドの実をスプーンですくって食べたりサイコロ状に切ったり皮を剥いたりします。マンゴーをカットする方がパパイアに比べてはるかに難しいのですが、慣れれば大丈夫です。

おしゃべりHAIKUの会(俳句)
 
Let’s おしゃべりクッキング!!!


★★★マンゴーゼリー★★

 

マンゴーゼリーの材料

 

小鉢型 5〜6個                               


砂糖・・・・・80g(お好み調節)
ゼライス・・・ 10g以上 

冷水・・・少々

マンゴー2〜3個

砂糖・・・・・80g(お好み調節)

デコレーション・・・・小鉢にお皿があればあとはお好み。

 

マンゴーゼリーの作り方


下準備

 ●
冷水にゼライスを溶かして置く。


作り方

 

1 マンゴーを皮を剥き、種から削ぐようにして切ります。

 

2 そのマンゴーをミキサーに入れ、100%果汁を作ります。

 

3 お好みで砂糖を少々入れ、またよく混ぜます。この時、あまり砂糖を使うと体に良くないので、最小限に抑えた方がよいでしょう。

4 滑らかなジュースが出来たらボールに取ります。

 

5 冷水で溶かしてあったゼライスを一度軽く温め液体状にしたものをマンゴーのジュースに良く混ぜます。

 

6 それを小鉢の型に流し入れ、冷蔵庫で、2〜3時間冷やし、固まったら出来上がりです。